3 次ケア病院における VRE アウトブレイクの有病率の推定のためのベイズ的時空間モデル

2022.04.20

A Bayesian spatiotemporal model for prevalence estimation of a VRE outbreak in a tertiary care hospital

A. Atkinson*, B. Ellenberger, V. Piezzi, T. Kaspar, O. Endrich, A.B. Leichtle, M. Zwahlen, J. Marschall
*University of Bern, Switzerland

Journal of Hospital Infection (2022) 122, 108-114





背景

2018 年 1 月 1 日から 2020 年 7 月 31 日の間に、病院でバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci;VRE)の院内アウトブレイクが確認された。本研究の目標は、毎週の有病率について述べることと、選択した感染制御策導入の見込まれる効果を明らかにすることである。

 

方法

アウトブレイクの最初の 2 年間(2018 年から 2019 年)の 22,072 人週にわたる 37,558 例の患者データを対象に、主要な病棟の 12 フロア(243 室)の病室中心分析を行った。週あたり・病室あたりの有病率を推測するため、空間的および時間的変量効果項の両方を含む、ポアソンベイズ階層モデルを適合させた。

 

結果

探索的データ分析によって、保菌の再発中の孤発空間的・時間的クラスター形成と共に、診療科およびフロア間の有病率の有意なばらつきが明らかになった。腫瘍科では、104 週の試験期間にわたってわずかに高い有病率(補正有病率比 4.8、95%信頼区間[CI]2.6 ~ 8.9、P < 0.001、総合内科との比較)を経験し、心臓外科(補正有病率比 3.8、95%CI 2.0 ~ 7.3、P < 0.001)および腹部外科(補正有病率比3.7、95%CI 1.8 ~ 7.6、P < 0.001)の両方でも同様であった。2018 年 7 月に推定される有病率のピークに達し、その時点で多数の新しい感染制御策(病室の毎日の消毒および患者退院時の紫外線による病室の清掃を含む)が導入され、その結果として有病率が低下した(週あたりの補正有病率比0.89、95%CI 0.87 ~ 0.91、P < 0.001)。

 

結論

比較的容易だが職員の人手を要する消毒薬と紫外線を用いた清掃は、アウトブレイクの制御に目に見える利益をもたらした。さらなる複雑さにもかかわらず、ベイズ階層モデルは、伝播の動態を研究するのにより適応性のあるプラットフォームをもたらす。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

VRE のアウトブレイクをベイズ的時空間モデルで解析した研究。方法論の部分はやや難解。紫外線照射を含む様々な手法で収束に向かったとのこと。VRE の感染対策は難しい。

 

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