待機的結腸直腸手術における手術部位感染症予防バンドル★

2022.04.20

Surgical site infection prevention bundle in elective colorectal surgery

L.K. Dixon*, S. Biggs, D. Messenger, J. Shabbir
*University Hospitals Bristol and Weston, UK

Journal of Hospital Infection (2022) 122, 162-167



目的

手術部位感染症(SSI)は、大きな経済的負担、ならびに患者における数値化されない負担の原因となっており、その最大 60%が予防可能と考えられている。結腸直腸手術患者は、腸の内容物による創汚染リスクのため、他の患者とは比較にならないほど SSI をきたす。本研究は、エビデンスに基づいた介入バンドルを用いて、待機的結腸直腸手術後の表在性 SSI の発生率を低減することを目的とした。

 

方法

待機的結腸直腸手術において SSI 予防バンドルを導入し、これにはトリクロサン被覆縫合糸、2%クロルヘキシジンによる皮膚前処置、および腹腔鏡手術中における加温二酸化炭素(CO2)の使用が含まれた。SSI 減少戦略を前向きに導入し、従来の手術法を対照群として比較した。本研究の主要転帰は表在性 SSI の全発生率とした。SSI の定義には、微生物学的所見を臨床的特徴と組み合わせた米国疾病対策センター(CDC)の基準を用いた。

 

結果

SSI の全発生率は、バンドル導入前群(N = 208)では 27.4%、SSI 予防バンドルを受けた患者群(N = 184)では 12.5%であった(補正オッズ比 0.38、信頼区間 0.21 ~ 0.67、P < 0.001)。SSI 診断までの期間中央値は、術後 8 日であった。患者の全入院期間は、ベースラインでは 6 日間であり、バンドル導入後に変化はなかった。

 

結論

本研究において、SSI 予防バンドルの導入により、表在性 SSI 発生率の減少に成功したことが示された。筆者らは、この SSI 予防バンドルが待機的結腸直腸手術における標準実践となること、またこのバンドルを緊急の一般手術にまで拡張するよう計画することを推奨する。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

NICE のガイドラインでは SSI 発生率を 10%以下にすることとし、準清潔手術に対する抗菌薬予防投与、皮膚消毒処置、周術期の体温調節を推奨しているが、直腸結腸手術は以前として高い状況であり、30%との報告もあり、さらなる SSI 予防策のバンドルの追加が必要である。本論文では、トリクロサン縫合糸や腹腔鏡手術時の加温二酸化炭素を導入し SSI の発生率低下を認めている。一方、日本の JHAIS の 2019 年の報告では直腸手術の SSI 全体では約 14%程度で、人工肛門設置時に SSI 発生率が高くなるようである。

 

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