バングラデシュの医療施設における感染性廃棄物管理の実践の改善に関する多面的能力開発イニシアチブの有効性:発展途上国にとっての 21 世紀の課題

2022.03.10

Effectiveness of a multi-modal capacity-building initiative for upgrading biomedical waste management practices at healthcare facilities in Bangladesh: a 21st century challenge for developing countries

L.Ara*, W. Billah, F. Bashar, S. Mahmud, A. Amin, R. Iqbal, T. Rahman, N.H. Alam, S.A. Sarker
*International Centre for Diarrhoeal Disease Research, Bangladesh

Journal of Hospital Infection (2022) 121, 49-56


緒言

感染性廃棄物管理は、不適切な管理によって医療従事者、一般住民および環境に対して深刻な脅威を及ぼす可能性があるため、世界中で注目を集めている。本研究は、バングラデシュ各地の医療施設における感染性廃棄物管理の実践を改善するための多面的介入の有効性を解析することを目的とした。

 

方法

この準実験研究は前後比較試験デザインであり、3 期にわたって 9 つの医療施設(5 施設は公立、3 施設は私立、1 施設は自治)で行われ、2019 年に完了した。多面的介入には、研究対象病院における(1)システムの変更、(2)教育と訓練、(3)視覚的リマインダー、(4)モニタリングとフィードバック、(5)持続可能性の確保といった様々な戦略が含まれた。2,726 名の医療従事者と廃棄物処理者から直接観察によって収集したデータを、Statistical Package for Social Sciences Version 24 を用いて解析した。

 

結果

色分けされたゴミ箱を使用した廃棄物の分別の実践において、有意な改善(1% から 79%へ)が認められた。輸送および最終的な管理/廃棄中の個人防護具の使用は、3% から 55%に増加した。感染性廃棄物の収集と輸送の標準的な方法の使用の遵守率は 0% から 78%へ大幅に上昇した一方で、感染性廃棄物の最終的な管理/廃棄の標準的な方法の遵守率は 39%改善した。

 

結論

バングラデシュにおける感染性廃棄物管理の実践を遵守することは、知識、労働力および資源の不足が原因で、極めて不十分である。それにもかかわらず、多面的介入は医療施設における感染性廃棄物管理の実践を有意に改善するツールとして使用できる可能性がある。この多面的介入のようなイニシアチブは、バングラデシュ政府が持続可能な開発目標 3.3 およびユニバーサル・ヘルス・カバレッジを 2030 年までに達成するのに役立つ可能性がある。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

感染性廃棄物処理に関する論文。敷地内の池に廃棄していたなどの記載があるので、日本の衛生水準とはそもそもかなり異なる気はする。日本では環境省が出している「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」がバイブルになっており、そこまでひどい処理は行われていないように思うが、契約更新時などに時々見直すと良いだろう。
日本では感染性廃棄物のトレーサビリティの担保は感染性廃棄物を発生させた現場施設に有り、最終処分工程を確認する作業が排出現場担当者には課されている。

 

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