COVID-19 パンデミック時の集中治療室における単一クローン VIM カルバペネマーゼ産生エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)複合体の院内アウトブレイク:統合的アプローチ
Nosocomial outbreak of monoclonal VIM carbapenemase-producing Enterobacter cloacae complex in an intensive care unit during the COVID-19 pandemic: an integrated approach
C.Mullié*, D. Lemonnier, C.C. Adjidé, J. Maizel, G. Mismacque, A. Cappe, T. Carles, M. Pierson-Marchandise, Y. Zerbib
*CHU Amiens Picardie, France
Journal of Hospital Infection (2022) 120, 48-56
背景
VIM カルバペネマーゼ産生エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)複合体のアウトブレイクが、2020 年 3 月から 10 月に、フランスの 3 次ケア・教育病院 1 施設の集中治療室 1 室で発生した。同時期に、この病院は COVID- 19 の第一波に直面していた。
目的
COVID-19 パンデミック時の集中治療室における VIM 産生 E. cloacae 複合体株によるアウトブレイクの管理について記述すること、および統合的アプローチの重要性を示すこと。
方法
多面的調査を実施して、記述および分子疫学、環境スクリーニング、および感染予防制御策の評価などを行った。
結果
同アウトブレイクにおいて症例計 14 例が特定され、寄与死亡率は高かった(85.7%)。アウトブレイク管理は危機管理室によって調整され、以下のような多診療科による方策が実施された:衛生策の強化、患者および環境から得られた E. cloacae 複合体株の微生物学的・分子的解析、およびシミュレーションを用いた教育。患者および環境サンプルから分離された E. cloacae 複合体株全 23 株は、複数部位塩基配列タイピング(MLST)による配列型 ST78 に属しており、bla–VIM4 gene遺伝子を保有していた。フーリエ変換赤外分光法を用いたところ、2 つの分離株を除いて、やはり単一のクラスターに属していることが分った。このアウトブレイクの発生源は特定できなかったが、多面的アプローチと多診療科による方策の実施のおかげで、原因株の拡散は制御された。
結論
本調査により、アウトブレイク株の迅速な配列決定におけるフーリエ変換赤外分光法の有用性、ならびに多剤耐性微生物の拡散および医療関連感染症を制御する上での統合的アプローチの重要性が示された。
監訳者コメント:
フーリエ変換赤外分光法の解説
https://www.jaima.or.jp/jp/analytical/basic/spectroscopy/ftir/
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