長期ケア施設における COVID-19 アウトブレイク時の感染と関連する因子

2022.01.31

Factors associated with transmission of COVID-19 in long-term care facility outbreaks

R. Vijh*, C.H. Ng, M. Shirmaleki, A. Bharmal
*University of British Columbia, Canada

Journal of Hospital Infection (2022) 119, 118-125


背景

長期ケア施設(LTCF)において、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)が及ぼす入居者への影響は偏っている。

 

目的

現時点のアウトブレイク管理および今後のパンデミック対策計画の策定について情報を提供するために、アウトブレイクの程度と関連するリスク因子を特定すること。

 

方法

LTCF における修正不可能な因子(施設の建物、組織レベル、入居集団の特性)、修正可能な因子(感染予防・制御[IPC]およびパンデミック対策といった評価ツールにより測定される因子)、COVID-19 アウトブレイクの程度(罹患率)の間の関連性を評価するために、後向きコホート研究デザインを適用した。

 

結果

2020 年 3 月 1 日から 2021 年 1 月10日に、LTCF 82 施設で、少なくとも1 例の COVID-19 確定例への曝露が計 145 件発生した。アウトブレイクの程度の増大と関連するリスク因子は、築年数の高い施設、初発症例が入居者であること(対 職員)、評価ツールの性能不良であった。とくに、評価ツールに合わないすべての項目について、他のリスク因子を補正後、罹患率の 22%増加が認められた(補正率比 = 1.2、95%信頼区間 1.1 ~ 1.4)。

 

結論

当該管轄区域において、評価ツールによるスコア、築年数の高い建物、初発症例が入居者であることが、COVID-19 アウトブレイクの程度と関連していた。その結果は、大規模アウトブレイクの予防のための IPC およびアウトブレイク対策を定期的に評価することの重要性を強めるものである。IPC およびアウトブレイク対策を組み入れた定期的な系統的評価が、今後のアウトブレイクの影響の軽減と、パンデミック対策計画のための情報提供に有用となるであろう。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

設備配置の老朽化や換気システムなど、感染のリスクは様々なところにあり適切な評価ツールによるポイントを押さえたリスク評価ができるかどうかが、こうした研究において重要である。

 

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