イングランドのNHS 急性期トラストにおける院内発症型クレブシエラ(Klebsiella)属菌および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)菌血症の発生率の上昇:2020 年 8 月から 2021 年 2 月の全国サーベイランスデータのレビュー

2022.01.31

Rising rates of hospital-onset Klebsiella spp. and Pseudomonas aeruginosa bacteraemia in NHS acute trusts in England: a review of national surveillance data, August 2020-February 2021

R. Sloot*, O. Nsonwu, D. Chudasama, G. Rooney, C. Pearson, H. Choi, E. Mason, A. Springer, S. Gerver, C. Brown, R. Hope
*Public Health England, UK

Journal of Hospital Infection (2022) 119, 175-181


2020 年 8 月から 2021 年 2 月の間に、イングランドの院内発症型クレブシエラ(Klebsiella)属菌および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)菌血症の発生率は、2017 年 4 月の義務的サーベイランス開始以来の最高レベルにまで上昇が認められた。症例は、主要なグラム陰性血流感染症に関するイングランドの義務的サーベイランスのデータベースから抽出した。院内発症型菌血症症例の発生率は、Klebsiella属菌では 100,000 病床日あたり 8.9(N = 255)から 14.9(N = 394)へ上昇し(発生率比[IRR]1.7、P < 0.001)、緑膿菌では 100,000 病床日あたり 4.9(N = 139)から 6.2(N = 164)へ上昇した(IRR 1.3、P < 0.001)(2020 年 8 月から 2021 年 2 月)。これらの発生率は、過去 3 年の同じ期間中に認められた発生率の平均値よりも高かった。これらの傾向は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2 にも陽性の院内発症型菌血症症例の割合の増加と一致していた。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

COVID-19 の流行にあわせた医療関連感染症の増加は数多く報告されている。この原因はよく分かっていないが、監訳者は医療従事者のフル PPE 着用による①清潔無菌操作の破綻と、②微生物の水平伝播の 2 つが主因ではないかと考えている。日本でも特にコロナ ICU における医療関連感染症の増加が懸念される。

 

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