小児患者におけるカテーテル関連血流感染症の低減を図るカテーテルロック溶液:ネットワークメタアナリシス

2021.12.31

Catheter lock solutions for reducing catheter-related bloodstream infections in paediatric patients: a network meta-analysis

Q. Guo*, Z. Lv, H. Wang, L. Song, Y. Liu, H. Chen, C. Zhou
*Capital Medical University, China

Journal of Hospital Infection (2021) 118, 40-47


背景

中心静脈カテーテル(CVC)留置の小児患者においてカテーテル関連血流感染症(CRBSI)を低減させるために、各種カテーテルロック溶液が使用されるが、もっとも有効なカテーテルロック溶液は明らかにされていない。

 

目的

小児患者において CRBSI の予防を図る各種カテーテルロック溶液の有効性を比較すること。

 

方法

PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Library で、2021 年 5 月までの分析の対象となりうる研究を検索、選択した。小児患者における CRBSI 予防のためにカテーテルロック溶液の効果を評価した無作為化比較試験を対象とした。リスク比(RR)とその 95%信頼区間(CI)を推定するためにランダム効果ネットワークメタアナリシスを実施した。

 

結果

患者 1,335 例を含む 13 報の研究をネットワークメタアナリシスの対象とした。小児患者の CRBSI 予防には、タウロリジン+ヘパリンがヘパリン単独と比較して有効であった(RR 0.21、95%CI 0.09 ~ 0.51)。CRBSI 予防のための他のカテーテルロック溶液(バンコマイシン、エタノール、フシジン酸、アミカシン、アミカシン+バンコマイシンなど)とヘパリンとの間にも、各種介入ロック溶液間にも有意差は認められなかった。累積順位曲線下表面に基づくと、CRBSI 予防の有効性に関してタウロリジン+ヘパリン(85.3%)がもっとも有効な溶液であると考えられ、次いでフシジン酸+ヘパリン(77.0%)、アミカシン+ヘパリン(65.7%)であった。処置試験ごとのデザインを踏まえると、対象とした研究において全体的な統計的不一致は認められなかった(χ2  = 2.22、P = 0.137)。

 

結論

本研究では、小児患者の CRBSI 予防においてタウロリジンロック溶液がもっとも有効のようであった。各種カテーテルロック溶液の有効性に関して、より信頼できるエビデンスを提供するために、小児患者を対象とした優れたデザインの無作為化試験が必要である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

抗菌薬や消毒薬によるカテーテルロックを漫然と汎用することのリスクについては、この論文には出ていない。Super-bug を生まないためにも選択圧を過剰にかけ過ぎないようにするといった長期的な視野に立った展望も必要である。

 

同カテゴリの記事

2015.04.29

Epidemiology of infection and current guidelines for infection prevention in cystic fibrosis patients

2013.01.30

The role of ‘no-touch’ automated room disinfection systems in infection prevention and control

2016.05.23

Hand soap contamination by Pseudomonas aeruginosa in a tertiary care hospital:no evidence of impact on patients

2012.03.31

Blood-borne virus transmission in healthcare settings in Ireland: review of patient notification exercises 1997-2011

2022.11.12
Maternity services’ responses to the COVID-19 pandemic: how Public Health England guidance was implemented in practice

S. Hanley*, G. Raybould, E. Baxter, J. Gray, D. Sharkey, K.F. Walker
*University of Nottingham, UK

Journal of Hospital Infection (2022) 129, 214-218


JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ