医療関連感染症のリスクを低減するための一時的な個室使用の費用効果
The cost-effectiveness of temporary single-patient rooms to reduce risks of healthcare-associated infection N. Graves*, B.G. Mitchell, J.A. Otter, M. Kiernan *Duke-NUS Medical School, Singapore Journal of Hospital Infection (2021) 116, 21-28
背景
多くの場合に、患者隔離のための個室使用が、病院内においてある種の医療関連感染症(HAI)を予防するためのより幅広いバンドルの一環を成している。個室の需要は利用可能数を超えていることが多く、一時的な隔離室の使用は、この問題の解決に役立つ可能性がある。感染予防実践の変更には、費用効果が高い可能性を示すエビデンスによる裏付けが必要である。
目的
英国の国民保健サービス(NHS)病院における隔離のための一時的な個室使用の採用について、費用効果の評価を実施すること。
方法
NHS 病院における現在の感染制御の取り組みのために一時的な隔離用個室使用を採用するという決定の費用効果について、モデルを設計した。主要転帰は、NHS の観点からの総費用に予想される変化および生存年とした。
結果
予想される生存年当たり平均費用増加(LYG)は 5,829 ポンドである。個室病室の採用が費用効果的となる確率は、追加のLYG 当たりの閾値を 20,000 ポンドとした場合は93%、閾値を 13,000 ポンドとした場合は 87%である。結論は、全シナリオにおいて主要なモデル変数に対して頑健である。隔離用の一時的な個室使用により HAI のリスクが 16.5%低下すれば、個室採用の決定は、そうでない場合より費用効果的となる可能性が高い。著者らによる有効性の推定値は、ガイドラインおよび妥当な前提を反映しており、理論的根拠は強固である。
結論
HAI のリスク低減を目的とした隔離用の一時的な個室使用の有効性には不確実な面があるが、採用の決定は NHS 病院では費用効果的と考えられるというある程度のエビデンスが得られている。このような不確実性の原因を減らすためには、前向き研究が有用となろう。
監訳者コメント:
病室の一部にフレームを組み、臨時の隔離病室(RediRoom)を作り運用することの価値について評価した論文である。個室が不足し、隔離病室が確保できない場合の手段として大変に興味深い。
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