コンピュータ断層撮影(CT)ガイド下脊椎注射後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染症のアウトブレイク
Outbreak of Pseudomonas aeruginosa infections after CT-guided spinal injections G. Paul*, A. Meißner, J. Neuneier, V. Neuschmelting, S. Grau, A. Yagdiran, M.J. Scheyerer, J.J. Malin, I. Suárez, C. Lehmann, M. Exner, G.A. Wiesmüller h , P.G. Higgins, H. Seifert, G. Fätkenheuer, J. Zweigner, N. Jung *Faculty of Medicine and University Hospital Cologne, Germany Journal of Hospital Infection (2021) 116, 1-9
背景
慢性背部痛の治療における局所注射後のグラム陰性菌による髄膜炎および脊椎感染症は、まれである。本研究では、コンピュータ断層撮影(CT)ガイド下脊椎注射後の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染症のアウトブレイクについて調査した。
方法
症例の定義は、当該外来診療所で 2019 年 1 月 10 日から 3 月 1 日の間に脊椎注射を受け、その後、緑膿菌による脊椎感染症または髄膜炎を発症した患者とした。緑膿菌の微生物学的エビデンスはないものの、緑膿菌に対して有効な抗菌療法に奏効を示した患者は、可能性の高い症例と定義した。
結果
研究期間に CT ガイド下脊椎注射を受けた患者 297 例中 28 例が、髄膜炎または脊椎感染症を発症した。患者 19 例のカルテを入手できた。15 例で緑膿菌の微生物学的エビデンスが得られ、4 例は可能性の高い症例と定義された。19 例のうち 2 例が髄膜炎、残る 17 例が脊椎感染症を発症した。脊椎注射から入院までの期間の中央値は 8 日(四分位範囲 2 日 から 23 日)であった。患者は主に背部痛を呈し(18 例、95%)、発熱はまれであった(3 例、16%)。大部分の患者で手術が必要であった(16 例、84%)。再発は 7 例(37%)、死亡は 1 例であった。感染源は微生物学的に特定されなかったが、脊椎注射を実施する際の無菌法が明らかに不適切であったことが、おそらく、これらの感染症の一因となったと思われる。
結論
脊椎注射は概して安全とみなされるが、無菌法の非遵守は悪影響を及ぼしうる。緑膿菌に起因する脊椎感染症は、治療が困難で、再発率が高い。
監訳者コメント:
脊椎注射時の衛生管理が破綻すると、重大な感染症が引き起こされることから多用量バイアル注射剤の共用は不適切な衛生管理は慎まなければならない。米国では最寄りで数十人規模の真菌性髄膜炎が汚染された分注ステロイド剤により発生している。
同カテゴリの記事
Moving into the future: electronic surveillance for healthcare-associated infections
Sensitivity of bacterial biofilms and planktonic cells to a new antimicrobial agent, OxsilR 320N
Is hand-rub consumption correlated with hand hygiene and rate of extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae (ESBL-PE)-acquired infections?
MRSA surveillance in a UK district hospital: measuring clinical isolates with MRSA is more useful than measuring MRSA bacteraemias