腎移植レシピエントにおける IMP-1 産生カルバペネム耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)アウトブレイクの重要な点と可能性のある落とし穴:症例対照研究

2021.09.30

Critical points and potential pitfalls of outbreak of IMP-1-producing carbapenem-resistant Pseudomonas aeruginosa among kidney transplant recipients: a case-control study

M.P. Freire*, C.H. Camargo, A.Y. Yamada, F.O. Nagamori, J.O. Reusing Junior, F. Spadão, A.P. Cury, F. Rossi, W.C. Nahas, E. David-Neto, L.C. Pierrotti
*University of São Paulo School of Medicine Hospital das Clínicas, Brazil

Journal of Hospital Infection (2021) 115, 83-92


背景

腎移植後のカルバペネム耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染症は、高い死亡率と関連する。

 

目的

腎移植病棟における IMP-1 産生カルバペネム耐性緑膿菌による感染/保菌のアウトブレイク 1 件について分析を行うこと。

 

方法

症例対照研究を実施した。症例の特定は、カルバペネマーゼに対するルーチンのサーベイランス培養およびリアルタイムPCR を、直腸スワブを対象に直接実施した。対照者は、同期間に同じ病棟に入院していた患者から、3:1 の比率で無作為に選択した。分離株のクローン性はパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)により分析し、分離株のさらなる特性を明らかにするために全ゲノムシークエンシング(WGS)を実施した。

 

結果

カルバペネム耐性緑膿菌が患者 37 例で同定され、51.4%はサーベイランス培養により、また 49.6%(原文のまま記載。48.6%の誤記載と思われる)は臨床培養により同定された。培養陽性の持続期間中央値は 42.5 日であった。患者 13 例(35.1%)で感染症計 15 件が認められ、このうち 7 件(46.7%)は尿路感染症であった。これらの患者の 30 日死亡率は46.2%であった。PFGE 分析では、すべての分離株に同じ pulsotype が共通に認められた。複数部位塩基配列タイピング(MLST)分析により、配列型は ST446 と同定された。カルバペネム耐性緑膿菌獲得のリスク因子は、入院期間 10 日超、再移植、腎移植後の泌尿器科外科的再介入、過去 3 か月間におけるカルバペネムまたはシプロフロキサシンの使用、ならびに過去 3 か月間におけるリンパ球数中央値低値であった。

 

結論

腎移植レシピエントは、長期にわたりカルバペネム耐性緑膿菌を保菌した状態にあり、院内アウトブレイクの感染源となり得る。さらに、こうした患者では感染症を発症する割合が高い。アウトブレイク時には、腎移植レシピエントに対するスクリーニングプロトコールに尿培養を追加すべきである。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

腎移植患者のカルバペネム耐性緑膿菌保菌に関する研究で、アウトブレイクを起こしている間は、尿培養のスクリーニングを行うべきだとのこと。妥当な結論ではないか。

 

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