紫外線照射を用いた空気循環式汚染除去装置の微生物に対する性能
Efficiency of an air circulation decontamination device for micro-organisms using ultraviolet radiation T.Q. Corrêa*, K.C. Blanco, J.D. Vollet-Filho, V.S. Morais, W.R. Trevelin, S. Pratavieira, V.S. Bagnato *University of São Paulo, Brazil Journal of Hospital Infection (2021) 115, 32-43
背景
人々の汚染を防ぐための環境安全確保に関する懸念は SARS-CoV-2 が作り出した危機によって増大した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、微生物環境の空気をより効率的に清浄化できるシステムと装置を開発する必要性を示した。主に呼吸または会話に起因する極小の飛沫を空気から除去できるシステムの開発が本研究の動機であった。
目的
本論文では、短波長紫外線(UV-C)リアクターを経た空気を循環させることによって環境中に存在する飛沫またはエアロゾルの除去を促進する、持ち運び可能で操作しやすいシステムについて記述した。
方法
空気循環式装置を開発し、模擬環境および自然環境で本装置を用いて細菌に対する原理証明試験を実施した。簡易沈降法によって微生物学的分析を行った。他の微生物に関する実験結果と予想結果を比較するために、細菌およびウイルスの減少率の値を算出し技術的パラメータ(清浄空気供給率および 1 時間あたりの換気回数)に基づいた実験結果と比較した。
結果
微生物は空気循環式汚染除去装置によって高効率で除去され、減少率は原理証明試験では 99.9%、病院環境での試験では84 ~ 97%であり、リスクがあると考えられる環境中の人々への汚染の減少に寄与するという結果になった。
結論
本研究によって低コストで比較的簡易な装置は、効果的で安全と示された。また特に低所得国においては、UV-C 技術を用いた空気清浄化の基準を順守して再現できる可能性があるという結果になった。
監訳者コメント:
波長 254 nm の紫外線を用いた空気清浄機の検討を行った論文である。現在、皮膚や目に悪影響を及ぼすことがないと考えられている 222 nm の紫外線を採用した機器の研究も進んでる。紫外線の殺菌効果は古くから確立しているものであるが、安全で有効な使用方法、機器については、新型コロナウイルス感染症でさらに加速度的に研究が進んでいる感がある。
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