ベルギーの集中治療室 1 室におけるVIM-2 型メタロβ-ラクタマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のリザーバとしてのシンク排水管:全ゲノムシークエンシングにより検討した患者との関係

2021.09.30

Sink drains as reservoirs of VIM-2 metallo-β-lactamaseproducing Pseudomonas aeruginosa in a Belgian intensive care unit: relation to patients investigated by whole-genome sequencing

D. De Geyter*, R. Vanstokstraeten, F. Crombé, J. Tommassen, I. Wybo, D. Piérard
*Universitair Ziekenhuis Brussel (UZ Brussel), Belgium

Journal of Hospital Infection (2021) 115, 75-82


背景

VIM 型メタロβ-ラクタマーゼ(MBL)陽性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)による院内感染症は、集中治療室(ICU)における世界的に重大な問題である。これまでに University Hospital Brussels(UZ Brussel)病院で実施された研究では、ICU のシンク排水管が様々な多剤耐性病原性細菌の感染源となる可能性が明らかにされた。

 

目的

成人 ICU 4 室のシンク排水管における VIM型 MBL 陽性緑膿菌(VIM P. aeruginosa)の存在および持続について、また院内感染症におけるそれらの役割について、シンクから患者への伝播に焦点を当てて検討すること。

 

方法

2019 年の 8 月および 10 月に、UZ Brussel の ICU における 36 カ所のシンクからのサンプリングと、VIM型 MBL 陽性緑膿菌の有無についてのスクリーニングを行った。シンク排水管のすべての陽性分離株、ならびに後向きに選択した患者(2019 年から 2020 年の ICU 患者 N = 46、2019 年の非 ICU 患者 N = 6)から得られた分離株 61 株について、全ゲノムシークエンシング(WGS)を実施した。

 

結果

シンク 20 個が、2 回のサンプリング時の両方において緑膿菌陽性であった。WGS により、優勢な環境クラスターは配列型ST111 に属していることが明らかになった。さらに10 個の配列型が同定された。VIM-2 遺伝子が、すべての ST17(N =2) および ST111(N = 14)のシンク排水管分離株で検出された。すべてのゲノムに対する全ゲノム複数部位塩基配列タイピング(MLST)分析に基づき、関連性の高い分離株の 15 のクラスターが特定され、このうち 7 つのクラスターにはシンク排水管分離株と臨床分離株の両方が含まれていた。

 

結論

著者らの結果から、シンク排水管が VIM-2 型 MBL 陽性緑膿菌の感染源となる可能性が確認され、おそらくそれは患者からの医療廃液による汚染後であると考えられた。患者は、汚染されたシンク排水管によって環境内に拡散した VIM-2 型 MBL 陽性緑膿菌に曝露される可能性がある。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

シンク排水管と多剤耐性菌の拡散に関してはすでに多くの先行研究がある。重要なのは「それではどうしたらいいのか」である。排水管の消毒などの取り組みも報告されているが、労力やコストが少なく、持続可能性の高い対策を模索していく必要がある。

 

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