コネティカット州の医療従事者における新型コロナウイルス抗体の血清陽性率、関連する疫学的因子および抗体の動態
Seroprevalence of SARS-CoV-2 antibodies, associated epidemiological factors and antibody kinetics among healthcare workers in Connecticut P. Papasavas*, S. Olugbile, U. Wu, K. Robinson, A.L. Roberts, D.M. O’Sullivan, T. McLaughlin, J.F. Mather, A.C. Steinberg, R. Orlando, A. Kumar *Hartford Hospital, USA Journal of Hospital Infection (2021) 114, 117-125
背景
医療従事者は現在進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの最前線にいる。大規模な医療システムの医療従事者における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス‐2(SARS-CoV-2)の血清陽性率の包括的評価は、疫学的因子および症状の存在が COVID-19 に対する経時的な免疫応答に及ぼす影響を明らかにするのに役立つ可能性がある。
目的
医療従事者における SARS-CoV-2 特異抗体の血清陽性率を明らかにすること、ならびに関連する疫学的因子を特定し抗体の動態を調査すること。
方法
米国・コネチカット州最大の医療システムの医療従事者約 30,000 名において、SARS-CoV-2 特異抗体の血清陽性率と疫学に関する縦断的評価を行った。
結果
ベースライン時点で、医療従事者 6,863 名における SARS-CoV-2抗体の血清陽性率は 6.3%(95%信頼区間[CI]5.7 ~6.9%)であり、血清陽性率は患者看護補助者(16.7%)、医療助手(9.1%)および看護師(8.2%)において最も高く、医師(3.8%)、高度実践医療従事者(4.5%)では低かった。血清陽性率はアフリカ系アメリカ人(白人と比較したオッズ比[OR]3.26、95%CI 1.77 ~ 5.99)、COVID-19 の症状を 1 つ以上有する参加者(OR 3.00、95% CI 1.92 ~ 4.68)、ならびに以前の隔離を報告した参加者(OR 3.83、95%CI 2.57 ~ 5.70)において有意に高かった。血清陽性参加者の 24%からは症状は報告されなかった。血清検査による追跡調査のために戻った 47%の参加者において抗体陰転率は 39.5%であり、抗体陽転率は 2.2%であった。血清陽性群における再感染率は 0%であった。
結論
免疫グロブリン G 抗体シグナルが経時的に減少するにもかかわらず、血清陽性の医療従事者の 60.5%は 5.5 か月後(中央値)も抗体陽転状態を維持した。
監訳者コメント:
医療従事者のコロナ抗体検査に関する論文。2020 年5月から 7 月の時点で 6%前後の陽性率であった。25%の陽性者は過去の COVID-19 症状を訴えなかったという。この結果自体で何かを言うことは難しいが、感染対策への意識や今後のフォローアップなどと組み合わせることで、ベースラインのデータとして意味のあるものになってくるだろう。
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