手術部位感染症:SARS-CoV-2 パンデミック下における選択的手術のための指針‐国際的推奨および臨床的経験★

2021.05.30

Surgical site infections: guidance for elective surgery during the SARS-CoV-2 pandemic – international recommendations and clinical experience

 

O. Assadian*, M. Golling, C.M. Krüger, D. Leaper, N.T. Mutters, B. Roth, A. Kramer

*Regional Hospital Wiener Neustadt, Austria

 

Journal of Hospital Infection (2021) 111, 189-199

 

 

背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、一般市民および医療施設に対して全般的な影響を及ぼしただけでなく、選択的手術において確立された外科的ワークフローにも影響を与えた。外科部門においてSARS-CoV- 2による感染から患者および医療従事者を保護するための戦略には、段階的な改善を必要とした。国際的な推奨およびガイドラインの評価、ならびに臨床的「ホットスポット」および 450 床の外科病院における個人的経験に基づき、医療従事者の役割と責任を記述し、パンデミック条件下における指針としてより広く用いることのできるような簡潔な指示を作成するため、手術部位感染症(SSI)予防のための専用のチェックリストが必要であった。

 

方法

2020 年 1 月 31 日までに保健当局および保健組織(WHO、US-CDC、ECDC、American College of Surgery、Robert Koch Institute など)により作成・公表された、COVID-19 に関連する推奨およびガイドラインを抽出し、評価・参照した。さらに、ドイツにおける臨床上の個人的経験を評価・検討した。

 

結果

本ガイドラインの第 1 部では、COVID-19 パンデミックの「ホットスポット」地域において、緊急の空間的分離のために余剰の病院建物を使用していた 3 次医療の外科治療センターの経験を要約した。第 2 部では、周囲の医療センターでアウトブレイクが発生していたドイツのある地域の外科病院において成功したスクリーニングおよび隔離の戦略について要約した。第 3 部では、COVID-19 パンデミック時に実施するよう提案された個人的な経験および国際的な推奨事項について概要を示した。

 

結論

COVID-19 について、また SARS-CoV-2 に関連する疫学についての理解は、常にまた急速に変化しており、推奨事項に対する継続的な適応と再評価が必要となる。外科医療および SSI 予防を継続するために確立された国および地域レベルのガイドラインには、継続的な吟味と焦点を絞った実施が必要となる。本稿では、COVID-19 パンデミック下において医療施設がその臨床および外科医療の業務の継続を支援するために中核となる施設用チェックリストを提供している。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

外科部門における COVID-19 対策を筆者らの経験や国際的な推奨について概要を示したドイツからの報告。ワクチンが利用可能になっているが、変異株の流行もあり、今後の COVID-19 対策も変わっていく可能性があるが、COVID-19 患者の手術はできるだけ避ける、スタッフのトレーニングや他の患者との隔離などの基本的な院内感染対策が今後も求められる。

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