ナノポア全ゲノムシークエンシングを用いた SARS-CoV-2 院内伝播の調査
Investigation of intra-hospital SARS-CoV-2 transmission using nanopore whole-genome sequencing
A.H. Løvestad*, S.B. Jørgensen, N. Handal, O.H. Ambur, H.V. Aamot
*Oslo Metropolitan University, Norway
Journal of Hospital Infection (2021) 111, 107-116
背景
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス‐2(SARS-CoV-2)パンデミック時に、医療従事者は職場および地域社会の両方での感染に曝露されている。疫学データのみに基づいて医療従事者が感染した可能性がある場所を決定することは困難である。ノルウェーの Akershus 大学病院では、ルーチンの接触者追跡調査によって SARS-CoV-2 の院内伝播の可能性のある複数のクラスターが特定された。
目的
SARS-CoV-2 の院内伝播が疑われるクラスターは、SARS-CoV-2 の全ゲノムシークエンシング(WGS)と接触者追跡調査データの組み合わせによって解決する可能性があるかどうか明らかにすること。
方法
PCR で確認された SARS-CoV-2 陽性の医療従事者に対するルーチンの接触者追跡調査時に疫学データを収集した。濃厚接触者として定義され 3 週未満のうちに SARS-CoV-2 検査陽性となった感染した医療従事者が 2 名以上いる病棟を可能性のあるアウトブレイクとして特定した。ARTIC Network のプロトコールに直接準拠して鼻腔/口腔咽頭サンプル由来のウイルス RNA にナノポアシークエンシングを行った。
結果
接触者追跡調査により 5 件のアウトブレイクが疑われた。24 名の医療従事者、2 例の患者および 7 例の匿名のサンプル由来のウイルスのコンセンサス配列を解析した。2 件のアウトブレイクが確認され、1 件は否定され、2 件は不確定のままであった。新たな可能性のあるアウトブレイク 1 件が発見された。
結論
疫学データと組み合わせると、ナノポア WGS は SARS-CoV-2 の院内伝播の調査に役立つツールであった。WGS はアウトブレイクの可能性に関する疑問の解決を支援し、地域の感染予防・制御策の指針として役立った。
監訳者コメント:
MRSA などの細菌感染において、近年全ゲノムシークエンシングを用いたアウトブレイクの調査報告が増加しているが、ウイルスにおいてもそういった取り組みが有効であることを示した研究である。イギリス株、インド株、といった大きな分類に加えて実際には遺伝子配列には細かい変異が起きていることを示す内容でもある。
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