英国の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の危機的状況後の手術器具再処理サーベイランスの改善:3 年間の調査による結果
Improved surveillance of surgical instruments reprocessing following the variant Creutzfeldt-Jakob disease crisis in England: findings from a three-year survey
R.C. Hervé*, J. Hedges, C.W. Keevil
*University of Southampton, UK
Journal of Hospital Infection (2021) 110, 15-25
背景
プリオン伝播のリスク低減を図るために、現在、英国では再使用可能な再処理済み手術器具を検査するタンパク質の高感度直接検出法が推奨されている。
目的
滅菌部門において再処理済み器具のタンパク質性残留物を定量化するために、確立された高感度法を実行し、サービス提供に及ぼすその潜在的影響を評価すること。
方法
高感度の落射蛍光顕微鏡を大規模な滅菌部門に導入した。マウスの脳ホモジネートまたは対照とする試験用褐色土をスパイクしたステンレス鋼トークンを用いて、2 つの洗浄消毒機モデルを 3 年間定期的に試験した。約 3,000 の再処理済み器具の試験のために落射蛍光顕微鏡を使用していた職員からデータとフィードバックも得た。
結果
すべての再処理済みの試験表面に残留汚染が存在した(1μg のスパイクから最高 258.4 ng)。表面間の近接は汚染除去の有効性に影響を及ぼし、交差汚染を起こさせた。自動洗浄消毒機による洗浄 1 サイクル後、対照表面に 50 ng までの新たなタンパク質性汚染が析出された。試験土は実際の組織汚染とは異なる挙動を示した。滅菌部門の職員は、ほとんどの再処理済み器具のタンパク質性残留物を落射蛍光顕微鏡により観察した。この顕微鏡は、英国で現在許容されている器具面あたり 5μg の閾値よりもはるかに少量の検出が可能である。
結論
プリオンの懸念に対処する最新の英国ガイドラインの実施により、驚くべき事実が立証された。再処理済みの多くの器具に顕微鏡レベルのタンパク質が残存している。滅菌後にプリオンを含む可能性のあるこの残留物の大部分が、次の患者に及ぼしうる影響について議論の余地がある。滅菌部門でのサーベイランス能力の向上が、意思決定を支持し、手術器具再処理の水準を高めるであろう。
監訳者コメント:
英国では変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者専用の内視鏡器具が指定病院に用意されており、医療関連感染のリスク管理を行っている。本研究はそうした専用器具の必要性に通じている。
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