カルバペネム耐性グラム陰性菌感染症の入院患者における医療資源の使用

2021.04.30

Healthcare resource use in hospitalized patients with carbapenem-resistant Gram-negative infections

 

B. Merrick*, M.K.I. Tan, K. Bisnauthsing, S.D. Goldenberg

*King’s College, UK

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 7-14

 

 

目的

抗菌薬耐性(AMR)は全世界の公衆衛生にとって脅威である。耐性菌による感染症は、治療がより困難であり、患者の回復を遅らせることが多く、罹病率や死亡率を高める可能性がある。AMR 病原体を保有する患者の治療に関連する医療費に関して報告は不十分である。とくに、カルバペネム耐性のある病原体などの特殊な微生物のデータは不足している。

 

方法

本稿は、Central London hospital においてカルバペネム感受性菌またはカルバペネム耐性菌のいずれかに感染した成人入院患者442 例を対象に、費用と資源使用について 2 年間にわたり比較した後向きマッチング(1 対 1)単一施設コホート研究である。資源使用およびミクロ原価計算法によるデータを、院内の患者・教育・研究の原価計算システムから入手し、直接費用と間接費用のいずれも含めた。

 

結果

全体として、カルバペネム耐性菌保菌患者の治療に関連する医療費の中央値は、カルバペネム感受性菌保菌患者の治療の場合の 2 倍以上(49,537 ポンド対 19,299 ポンド)であった。救命救急医療費を含むパラメータを評価した 44 例中 21 例で、統計学的に有意な支出の増加がみられ、これは両群の総費用のうち最大の割合を占めた。感染は主に呼吸器で(41%)、原因菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が多かった(76%)。

 

結論

カルバペネム耐性菌による感染症により医療支出が有意に増大している。以前の研究では、患者支援、移送、配膳を含む費用の多くが正しく評価されていなかった。加えて、本稿では、カルバペネム耐性菌感染患者は、カルバペネム感受性菌感染患者と比較して、入院期間が長く、手術時間が長いことを指摘する。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

 

監訳者コメント

耐性菌保有者が院内に沢山いるということは、病院にとっても患者にとっても好ましいことではない。保菌者が多ければ医療関連感染症も増え治療により在院日数が増えると共に医療費が高騰するからである。

 

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