カリブ共同体(CARICOM)諸国の入院患者における医療関連感染症と抗菌薬処方:混合研究法を用いたシステマティックレビュー

2021.04.30

Healthcare-associated infections and the prescribing of antibiotics in hospitalized patients of the Caribbean Community (CARICOM) states: a mixed-methods systematic review

 

T. Wade*, C. Heneghan, N. Roberts, D. Curtis, V. Williams, I. Onakpoya

*University of Oxford, UK

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 122-132

 

 

背景

低資源国の病院における医療関連感染症(HCAI)と抗菌薬処方のばらつきは、公衆衛生上の重要な問題となっている。

 

目的

カリブ共同体(CARICOM)諸国における HCAI のエビデンスと抗菌薬処方を厳密に評価し、統合すること。

 

方法

CARICOM 諸国の入院患者の HCAI および抗菌薬処方を検討した主要な定性的研究と定量的研究のすべてを対象とした。Ovid Medline、Embase、Global Health、地域のデータベースで検索した。混合研究法評価ツールを用いてバイアスのリスクを評価した。結果を記述と表形式で示した。

 

結果

21 報の研究が今回の混合研究法を用いたシステマティックレビューの基準を満たした。研究はCARICOM の 4か国(トリニダード・トバゴ、ジャマイカ、ハイチ、アンティグア・バーブーダ)からのものであった。感染症発生率がもっとも高いのは集中治療室であった(4 年間で 67%)。手術部位感染が 7 報で検討され、発生率は 1.5% ~ 7.3%であった。汚染創または感染創を有する入院患者での発生率は 29% ~ 83%であった。経験的治療や予防的治療が一般的で、処方は不適切であった。感染制御および抗菌薬適正使用支援のための資源や医療従事者への訓練は不十分であった。定性的研究がわずかしかなかったため、質的・量的パラダイムからエビデンスを統合することは不可能であった。

 

結論

CARICOM 諸国のエビデンスにより、主に ICU で、HCAI 発生率が高いこと、抗菌薬処方が不適切であることが示された。疾病監視、感染制御、抗菌薬適正使用支援プログラムにおいて、エビデンスに基づく早急の改善が必要となる。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

多剤耐性菌の出現は世界のどこでも起こりえる。このため、抗菌薬の適正使用は種の壁を越えて行う必要があり、世界のいかなる地域でも実施されるべき案件である。

 

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