非アウトブレイク時に高度耐性微生物が同定された患者の隔離に伴う 1 日あたりの直接費用

2021.03.31

The daily direct costs of isolating patients identified with highly resistant micro-organisms in a non-outbreak setting

 

M.D. van Dijk*, A.F. Voor in ’t holt, S. Polinder, J.A. Severin, M.C. Vos

*Erasmus MC University Medical Centre Rotterdam, The Netherlands

 

Journal of Hospital Infection (2021) 109, 88-95

 

背景

高度耐性微生物が同定された患者を看護する場合、隔離予防策が推奨されている。しかし、隔離患者の直接費用については不明な部分が多い。

 

目的

高度耐性微生物が同定された患者の隔離に関連する 1 日あたりの直接費用の詳細情報を入手すること。

 

方法

本研究は 2017 年 11 月から 12 月まで 12 床の外科病棟において実施した。この病棟には前室付きの単独の隔離室があった。隔離の 1 日あたりの直接費用は、(1)追加の個人防護具(PPE)(空になった包装材を数えて評価)、(2)隔離室の清掃および消毒(外部委託の清掃会社の費用に基づく)、(3)医療従事者の追加の作業負荷(文献に基づき看護師全体の平均時給より算出)の 3 つの費用項目に基づいた。厳重隔離の費用、接触プラス隔離の費用、接触隔離の費用を区別した。

 

結果

本研究期間中に 26 例の患者が高度耐性微生物の保菌を理由に隔離されて看護を受けた。PPE の着脱時間は 1 日あたり 31 分であった。隔離の 1 日あたりの直接費用の平均は接触隔離(ガウン、手袋)が最も安く 28 ユーロ/31 ドルであり、厳重隔離(サージカルマスク、手袋、ガウン、帽子)は最も高く 41 ユーロ/47 ドルであった。

 

結論

我々は PPE の使用量を推定する新しく簡単な方法を用いて、患者の隔離に伴う 1 日あたりの直接費用は隔離の種類によって異なると結論づけた。隔離の直接コストに関する知見は、感染予防策を開発または改訂する際に最も重要である。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

感染対策に実際にどれくらいのコストがかかっているのか算定したいという要望は大きい。本研究では消費される PPE の量や着脱に要する時間などからコストを算定している。自施設で直接的な感染対策のコスト算定を行う際の参考になるのではないだろうか。

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