ロンドンにおける新型コロナウイルス感染症（COVID-19）パンデミック時のスタッフのための個人防護具に関する支援プログラムの評価
Evaluation of a personal protective equipment support programme for staff during the COVID-19 pandemic in London
*Imperial College Healthcare NHS Trust, St. Mary’s Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2021) 109, 68-77
背景
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは世界中の医療提供者に非常に大きな課題を突きつけている。個人防護具（PPE）の適切な使用はスタッフと患者の安全を確保するのに必要不可欠である。「PPE ヘルパープログラム」は不十分なPPE の実践に対処するために大規模なロンドンの病院グループによって開発された。能力・機会・動機づけ‐行動変容モデルに基づき、本プログラムは病棟スタッフに PPE に関する支援、助言および教育を提供した。
目的
PPE ヘルパープログラムの評価。
方法
臨床および非臨床の病棟スタッフは Theoretical Domains Framework と能力・機会・動機づけ‐行動変容モデルの情報に基づく質問票に回答した。本質問票は紙および電子版で利用可能であった。定量的な回答は記述統計およびノンパラメトリック統計を用いて分析し、自由記載の回答は主題的に分析した。
結果
PPE ヘルパーは 6 週間にわたって病棟への訪問を 268 回行った。全体で 261 件の質問票が分析に利用できた。本トラスト（Imperial College Healthcare NHS Trust）全体で回答者の 68％が PPE ヘルパーと接触したと報告した。PPE ヘルパーに出会ったスタッフは出会わなかったスタッフよりも、PPE の使用に関する幅広い記述に対して有意に肯定的に回答した。黒人および少数民族のスタッフは PPE が十分かどうかについて有意により不安に感じていた。非臨床および配置転換されたスタッフ（例えば清掃スタッフ）は PPE ヘルパーの影響に関して最も肯定的であった。自由記載のコメントによって、スタッフは PPE ヘルパープログラムは支えになると感じていること、またパンデミックの早期に PPE ヘルパープログラムを望んだであろうということが示された。
結論
PPE ヘルパープログラムは感染症のアウトブレイク時に病棟スタッフに対して支援、助言および教育を提供するための実行可能で有益な介入の 1 つである。
監訳者コメント：
新型コロナウイルス感染症の診療や看護において、PPE の適切な使用は最も重要な要素の一つである。包括的・系統的な感染対策の指導ができなかったとしても、PPE ヘルパープログラムのように、課題を絞って特化したプログラムであっても有効であることが示された。
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