感染予防・制御の中核的要素の国レベルでの実行:世界的な状況分析
Implementation of the infection prevention and control core components at the national level: a global situational analysis
E. Tartari*, S. Tomczyk, D. Pires, B. Zayed, A.P. Coutinho Rehse, P. Kariyo, V. Stempliuk, W. Zingg, D. Pittet, B. Allegranzi
*Geneva University Hospitals, and Faculty of Medicine, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2021) 108, 94-103
背景
医療関連感染および抗菌薬耐性に立ち向かうため、またアウトブレイクの予防と対応をするため、感染予防・制御(IPC)の強化は必須である。
目的
世界保健機関(WHO)による IPC の中核的要素に基づいて国の IPC プログラムを世界的に評価すること。
方法
2017 年 6 月 1 日から 2018 年 11 月 30 日までの間に、WHOの「Clean Care is Safer Care(清潔なケアはより安全なケア)」というチャレンジに対し誓約した国々の IPC 担当者との半構造化面接に基づいて、多国間横断研究を実施した。結果および地域と国民所得水準の違いは記述統計学を用いて要約した。
結果
103 の適格国のうち 88 か国(85.4%)が参加し、22.7% は低所得経済国、19.3% は低中所得経済国、23.9%は高中所得経済国、34.1% は高所得経済国であった。国の IPC プログラムが存在したのは 62.5%であったが、専用の予算があったのは 26.1%のみであった。対象国のうち国のガイドラインを用意していたのは 67.0%であったが、実行戦略を有していたのは 36.4%のみ、またガイドラインの遵守が評価されていたのは 21.6%のみであった。大学の学部生の IPC カリキュラム、現職および大学院生の IPC トレーニングは、それぞれ 35.2%、54.5%、42%の国々で報告された。医療関連感染サーベイランスは 46.6%の国々で報告され、83.3%(高所得国)から 0%(低所得国)までの有意差があった(P < 0.001)。IPC の指標のモニタリングとフィードバックが報告されたのは 65.9%であった。すべての中核的要素を実施していたのは 12.5%の国々のみであった。
結論
ほとんどの国々は IPC プログラムおよびガイドラインを有していたが、適切な資金を投資しそれを実行とモニタリングに活用できない国々は多く、特に低所得国で顕著であった。すべての国々で中核的要素の実行を達成するためには、国レベルおよび世界的なレベルでの指導の支援が必要である。
監訳者コメント:
感染対策を進めるには組織の体制整備や幹部の支援が必要である。本論文は国家レベルの議論であるが、各々の医療機関に当てはめて考えることも可能であろう。
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