パンデミック時における低温蒸気 2%ホルムアルデヒド滅菌処理を用いたマスクの汚染除去:再利用のための安全な代替法

2021.02.28

Decontamination of filtering facepiece respirators using a low-temperature-steame-2%-formaldehyde sterilization process during a pandemic: a safe alternative for re-use

M. Garcia-Haro*, C. Bischofberger Valdés, J. Vicente-Guijarro, C. Díaz-Agero Pérez, M. Fabregate-Fuente, P. Moreno-Nunez, J.M. Aranaz-Andrés, on behalf of the COVID-19 Research Group of the Hospital Universitario Ramón y Cajal
*Hospital Universitario Ramón y Cajal, IRYCIS, Spain

Journal of Hospital Infection (2021) 108, 113-119

背景
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、マスク供給の問題を引き起こしている。マスクの再利用により供給不足の影響を低減できる可能性があるが、効率的かつ安全な汚染除去方法が利用可能でなければならない。

目的
低温蒸気 2%ホルムアルデヒド滅菌が効果的かどうか、それによりマスクの性能が維持されるかどうか、また安全に再利用できるかどうかを明らかにすること。

方法
14 枚の未使用の FFP2、FFP3 および N95 マスク製品に対して、2 サイクルの汚染除去サイクルを実施した。第 2 サイクルの実施後、各製品の目視確認を行い、蓄積された残存ホルムアルデヒド濃度を EN 14180 の基準に基づいて分析した。1 サイクルおよび 2 サイクルの汚染除去サイクル実施後、各製品のフィット係数についてテストを行い、5 種類の製品について塩化ナトリウムエアロゾルを用いて透過テストを実施した。

結果
汚染除去により、14 種類の製品中 3 種類で物理的な変形が認められた。残存ホルムアルデヒド濃度は、すべて許容できる基準値未満であった。汚染除去の各サイクル実施後に、フィット係数の不規則な増減が認められた。塩化ナトリウムエアロゾルによる透過テストでは、3 種類の製品において、ベースライン時および 1 回および 2 回の汚染除去サイクル実施後のいずれにおいても市販時に表示されているマスク分類に対応して同等または優れた結果が得られ、2 種類の製品では濾過能力が低いことが示された。

結論
低温蒸気 2%ホルムアルデヒドを用いた 1 回および 2 回の汚染除去サイクルの実施により、テストしたほとんどのマスク(14 枚中 11 枚)で変形はみられず、分析対象としたいずれのマスクでもフィット性および濾過能は低下しなかった。残存ホルムアルデヒド濃度は、EN 14180 の基準範囲内であった。この再処理法は、個人防護具が不足する場合に使用できると考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
個人防護具の再利用に関する様々な報告が存在する。実際には滅菌法と滅菌対象の組み合わせによって結果がケースバイケースとなることも多く、実臨床への適用は慎重に行った方が良いだろう。

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