カルバペネム耐性グラム陰性細菌感染症の早期発見および至適管理★

2021.02.28

Early identification and optimal management of carbapenem-resistant Gram-negative infection

J.P. Bedos*, G. Daikos, A.R. Dodgson, A. Pan, N. Petrosillo, H. Seifert, J. Vila, R. Ferrer, P. Wilson
*Intensive Care Unit, Centre Hospitalier De Versailles, France

Journal of Hospital Infection (2021) 108, 158-167

背景
グラム陰性細菌のカルバペネム耐性は病院環境において重症感染症の原因となる。欧州において、カルバペネム耐性グラム陰性細菌による感染症に対する治療決定の指針となる統一的なスクリーニング方針や同意された基準セットは存在しない。

目的
カルバペネム耐性の専門家に対する調査に用いるための一連のコンセンサスステートメントを作成すること、および欧州全域および全専門科の中に存在し得る類似性と差異を明らかにすること。

方法
調査には 43 のステートメントが含まれ、その内容はカルバペネム耐性微生物に関する以下の 6 つの主要なトピックにわたっていた:微生物学的スクリーニング、診断、感染制御策の実施、抗菌薬適正使用支援、リソースの使用、影響を及ぼすための政策。

結果
調査に対して、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン、および英国から計 136 件の回答(66%が感染症専門家、18%が微生物学専門家、11%が集中治療専門家、4%がその他/不明)が得られた。43 項目のすべてのコンセンサスステートメントについて、一致度は高いか極めて高く、このことから、カルバペネム耐性微生物による感染症の早期発見および至適管理について良好な一致度が示された。

結論
著者らは以下の推奨事項を提案する:(1)カルバペネム耐性微生物の流行がみられる国/病院において医療システムを受診した可能性のある患者にはスクリーニングが必要である、(2)すべての施設において迅速診断ツールが利用可能となるべきである、(3)すべての施設が、カルバペネム耐性微生物に対する独自の制御方針を作成し、定期的に監査を受けるべきである、(4)カルバペネム使用の適切性および不適切性を判定するための明確な戦略が必要である、(5)優先的な資金援助を、カルバペネム耐性微生物による感染症の管理に割り当てるべきである、(6)カルバペネム耐性微生物の国家間伝播を低減するために国際的協力が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント
薬剤耐性は、近年急激な増加により超過死亡率上昇や医療費高騰の原因となり、感染による合併症の増加は公衆衛生的にも重要な課題となっている。特にカルバペネム耐性グラム陰性菌は多剤耐性であるがために治療が困難となっている。日本でもすでにカルバペネム耐性菌は検出されており、急性期病院においては、海外で医療を受けたことのある患者の入院時のスクリーニングは必須である。そのための体制構築(どの検体をいつ採取し、どのような検査を実施し、その費用について)を急ぐ必要がある、さらに耐性菌の迅速検査には、遺伝子検査の導入について検討しなければならない。と同時に耐性菌患者が入院してきたときの感染対策のマニュアル作成と同時に現場でのシミュレーションが必要であろう。

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