血液透析患者におけるβ – ラクタム耐性グラム陰性桿菌の多様なクローンの間欠的保菌の頻度の高さは抗菌薬の過剰使用および異なる感染源を示唆している
High intermittent colonization by diverse clones of β-lactam-resistant Gram-negative bacilli suggests an excessive antibiotic use and different sources of transmission in haemodialysis patients
- Salazar-Ospina*, J.M. Vanegas, J.N. Jiménez
*Universidad de Antioquia, Colombia
Journal of Hospital Infection (2021) 107, 76-86
背景
β – ラクタム耐性グラム陰性桿菌(GNB)の拡散は世界的に懸念される話題の 1 つである。しかし、血液透析患者におけるこれらの細菌の保菌に関する知見は限られている。
目的
透析センター 1 施設においてβ – ラクタム耐性 GNB の保菌の動態と関連する因子を分析すること。
方法
縦断研究を実施した。各患者の糞便サンプルを採取し、基質特異性拡張型β – ラクタマーゼ(ESBL)およびカルバペネマーゼ産生グラム陰性桿菌を評価した。保菌のスクリーニングは 3 時点で実施し、非保菌、間欠的保菌または持続的保菌に分類した。分子タイピングには enterobacterial repetitive intergenic consensus(ERIC) -PCR 法、パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)法、multi-locus sequence typing(MLST)法が含まれた。臨床情報は診療記録および個人面接から取得した。一般化推定方程式モデルを実施し保菌に関連する因子を決定した。
結果
計 210 例の患者が含まれた。ESBL 産生およびカルバペネム耐性 GNB の保菌はそれぞれ41.2%、11.5%に達した。多くの患者は間欠的保菌者であり、各細菌群の 73.9%、92.95%の頻度であった。最も頻度の高い ESBL は CTX-M-G1 であったのに対し、最もよく見られたカルバペネマーゼは KPC であった。ERIC-PCR 法と PFGE 法によって菌株の遺伝的多様性の高さが明らかになり、MLST 法によると大腸菌(Escherichia coli)クローン ST131 が最も重要であった。フルオロキノロンの使用(オッズ比[OR]3.13、95%信頼区間[CI]1.03 ~ 9.44、P[cap]= 0.043)および慢性閉塞性肺疾患(OR 3.53、95%CI 1.42 ~ 8.74、P = 0.006)が ESBL 産生 GNB の保菌に関連していた。
結論
我々の結果は血液透析患者においてβ – ラクタム耐性 GNB の多様なクローンの間欠的保菌の頻度が高いことを示している。このことにより多様な遺伝的特性と異なる感染源を有する細菌の獲得に有利に働く過剰な抗菌薬による選択圧が示唆される。
監訳者コメント:
透析患者が間欠的にESBL 産生菌やカルバペネマーゼ産生菌を保菌していることを示した研究である。抗菌薬の使用が危険因子として指摘されているが、透析患者に限らずこのようなことは起きていると考えられる。
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