救急部でのSARS-CoV-2に標的を絞った迅速検査により非感染患者の曝露時間が大きく短縮する★★
Targeted rapid testing for SARS-CoV-2 in the emergency department is associated with large reductions in uninfected patient exposure time
J.S. Hinson*, R.E. Rothman, K. Carroll, H.H. Mostafa, K. Ghobadi, A. Smith, D. Martinez, K. Shaw-Saliba, E. Klein, S. Levin
*Johns Hopkins University School of Medicine, USA
Journal of Hospital Infection (2021) 107, 35-39
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断時間を短縮することで、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)への医療関連曝露を減少させ、感染制御の資源を保持し、ケアの能力を高める機会が得られる。後向きコホート解析を実施して、SARS-CoV-2 に標的を絞った迅速分子検査が、これらのアウトカムに及ぼす影響の評価を行った。標準的プラットフォームによる検査と比べて、迅速検査により隔離コホートから診断結果陰性の患者を除外するまでの時間中央値が 65.6%(12.6時間)短縮した。この結果は、COVID-19 に対する治療能力における週当たり病床利用可能時間 3,028 時間の増加、および個人防護具の使用を要する患者接触機会における 7,500 件の減少に換算された。
監訳者コメント:
救急外来を訪れた患者のなかで COVID-19 が疑われた場合には、「判定待ち患者」としてコホート隔離されるため、結果判明までは陰性者も陽性者と同一の待合室で待つこととなり、ウイルス曝露する。曝露時間をできる限り短時間にするために迅速の PCR 機器(Cepheid 社の GeneXpert)を使用することで依頼から報告まで時間の中央値が、通常検査と比較すると 7.8 時間から 1.9 時間にまで短縮可能となり、その結果「判定待ち患者」の曝露時間を中央値で約 19 時間から約 6 時間に短縮することができた。日本においては患者を個別に隔離して診療することが基本となっており、このような状況は少ないと予測される。外来 COVID-19 診断のための迅速 PCR は 1 から 2 時間前後で判定できる機器が日本でも市販されており、同様の「判定待ち患者」の曝露状況は仮にあったとしても改善しているものと推測される。
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