医療関連クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)感染症を減少させるための環境清掃バンドルの効果:システマティックレビューおよびメタアナリシス
Effects of environmental cleaning bundles on reducing healthcare-associated Clostridioides difficile infection: a systematic review and meta-analysis
J.P.C. Chau*, X. Liu, S.H.S. Lo, W.T. Chien, X. Wan
The Chinese University of Hong Kong, China
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 734-744
医療施設および長期ケア施設におけるクロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)による環境汚染は、C. difficile 感染症(CDI)の伝播に重要な役割を果たしており、結果として、入院期間延長、死亡リスクの上昇、医療費増加につながる。環境清浄度を改善するために環境清掃バンドルが導入される。本研究の目的は、病院、地域社会、長期ケア施設に適用される環境清掃バンドルが、従来の清掃法と比較して医療関連 CDI の発生率を低下させるか否かを評価することである。関連するデータベース、ウェブサイト、臨床試験登録プラットフォームで検索した。2 名の評価者が独立して、研究のスクリーニングと選択、データ収集、バイアスリスクの評価、エビデンスの質の評価を実施した。Review Manager 5.3 を用いてメタアナリシスを実施した。適格な研究 10 報(ランダム化比較試験[RCT]1 報、非 RCT 9 報)を採用した。環境清掃バンドルが CDI 発生率に及ぼす有意な影響は認められなかった(リスク比[RR]= 0.96、95%信頼区間[CI]0.71 ~ 1.29、研究= 2 報、I2 = 49%、非常に低い質)。しかしながら、環境清掃バンドルの実施後、表面マーカーの除去は有意に改善され(RR = 1.55、95%CI = 1.30 ~ 1.84、研究= 3 報、I2 = 98%、非常に低い質)、C. difficile 培養陽性の CDI 病室の割合は有意に低下した(RR = 0.16、95%CI = 0.08 ~ 0.31、研究= 4 報、I2 = 7%、中等度の質)。したがって、環境清掃バンドルは、病院および長期ケア施設における環境表面の清掃の徹底を改善するのに有用であろう。より強力なエビデンスを得るために、優れた運営による RCT が期待される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
CDI だけでなく、多剤耐性菌対策においても適切な院内環境の清浄度レベルの維持が重要である。環境清掃の作業員の作業内容に不徹底があると、院内伝播のリスクが上昇するため清掃員にはプロフェッショナルとしてのスキルが求められる。
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