それはトラップだ!多用途の排水管のバイオフィルムモデルの開発と消毒に対する感受性
It’s a trap! The development of a versatile drain biofilm model and its susceptibility to disinfection
K. Ledwoch*, A. Robertson, J. Lauran, P. Norville, J-Y. Maillard
*Cardiff University, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 757-764
背景
排水管のバイオフィルムにおける病原体は病院感染症の重大なリスクの 1 つとなる。しかし、排水管のバイオフィルムと病原体拡散の抑制における製品の有効性のエビデンスは乏しい。排水管の複合バイオフィルムへの消毒効果に関する堅固で再現可能で簡単な試験法のニーズに対応するため、新たな in vitro のバイオフィルムモデルを開発した。
方法
同一の排水管の複合バイオフィルムを 8 日にわたって同時に構築し、シンクのトラップを模した。それらの組成の再現性は次世代シークエンシングによって確認した。次亜塩素酸ナトリウム 1,000 ppm、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム 1,000 ppm、非イオン性界面活性剤および過酢酸4,000 ppm の有効性を、通常のシンク使用状況をシミュレーションして調査した。排水管の 3 つの別々の部分において、一連の 15 分の処置後の細菌の生存と回復を測定した。
結果
排水管のバイオフィルムは 119 のグラム陽性および陰性細菌の混合種で構成されていた。15 分 3 回の投与後に、次亜塩素酸ナトリウムは排水管の前部においてのみ生存を>4 log10 減少させたのに対し、過酢酸は排水管のすべての区分において生存の>4 log10 の減少を達成し、4 日を超えてバイオフィルムの再増殖を防いだ。非イオン性界面活性剤とジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは排水管のいずれの区分においてもバイオフィルムを抑制できなかった。
結論
排水管は医療環境における病原性微生物の供給源の 1 つである。微生物のバイオフィルムは従来の化学的殺菌製品で根絶するのは難しいことで有名である。この再現性のある in vitro の排水管のバイオフィルムモデルの開発により、殺菌製品がバイオフィルムの空間構成および排水管の異なる部分での生存に対して及ぼす効果を理解できた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療機関の多剤耐性菌の温床と考えられている排水管のバイオフィルムモデルとそれを用いた消毒薬の性能評価に関する論文である。使用した消毒薬の中では過酢酸が最も有効であった。
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