ガンマプロテオバクテリアによる院内感染のリザーバとしてシンク排水管を関連付ける研究における因果関係のエビデンスを評価するツールの開発

2020.11.30

Development of a tool to assess evidence for causality in studies implicating sink drains as a reservoir for hospital-acquired gammaproteobacterial infection
C. Volling*, S. Thomas, J. Johnstone, H.C. Maltezou, D. Mertz, R. Stuart, A.J. Jamal, C. Kandel, N. Ahangari, B.L. Coleman, A. McGeer
*Mount Sinai Hospital, Canada
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 454-464


背景
数十年にわたる複数の研究で、シンク排水管のガンマプロテオバクテリアと院内感染の関連が示されているが、因果関係のエビデンスは不明である。
目的
ガンマプロテオバクテリアによる院内感染のリザーバとしてシンク排水管を関連付ける調査研究における因果関係のエビデンスの質を評価するツールを開発することを目的とした。
方法
既存の因果評価アプリケーションから本ツールを開発するために、病院疫学専門家を招いて修正デルファイ法を適用した。
結果
4 ラウンドのフィードバックと修正により、「ガンマプロテオバクテリアによる院内感染または保菌のリザーバとしてシンク排水管の因果関係評価のための修正 CADDIS ツール」を開発した。開発中に発表された文献を対象としたツール適用試験において、平均一致率は 46.7% ~ 87.5%で、Gwet’s AC1 統計量(偶然の一致を補正)は 0.13 ~ 1.0(中央値 68.1)であった。不一致の領域は、排水管から患者に至るまでの因果経路に関する経験的認識の欠如および細菌感染を予防する同時介入の影響が不明であることに起因すると考えられた。それ以上の反復でツールが改善される可能性は低いという合意が得られるまで修正を加えた。独立した 2 名の評価者が、進行中のシステマティックレビュー対象の 44 報の論文にツールを適用したところ、一致率は 93% ~ 98%で、Gwet’s AC1 統計量は 0.91 ~ 0.97 であった。
結論
修正版の因果関係ツールは、院内感染のリザーバとしてシンク排水管を関連付ける研究を評価する上で有用であり、今後の研究の実施および報告の方針決定に役立つであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
デルファイ法とは、予測技法の一つであり、専門家複数に匿名でアンケート調査を行い、回答を繰り返すことで、専門家の意見を集約する方法である。本論文では、システマティックレビュー対象の論文の評価をこの手法を用いて行っていた。

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