都市部の大病院における N95 マスクの再使用:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応方法と手順

2020.10.30

N95 mask reuse in a major urban hospital: COVID-19 response process and procedure
M.P. Czubryt*, T. Stecy, E. Popke, R. Aitken, K. Jabusch, R. Pound, P. Lawes, B. Ramjiawan, G.N. Pierce
*St Boniface Hospital Albrechtsen Research Centre, Canada
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 277-282


背景
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)のパンデミック中に単回使用の N95 マスクの不足は、医療提供者と医療施設に限られた在庫を持たせるために N95 マスクを再使用するという案を提起させた。
目的
カナダの都市部の大病院 1 施設において毎日着用される N95 マスクの高圧蒸気滅菌を用いた再使用の可能性を評価すること。
方法
N95 マスクの再使用の可能性は、ボランティアスタッフが 2 ~ 8 時間着用後に回収し、高圧蒸気滅菌と PortaCount によるフィットテストを行って評価した。1 日あたり数百の N95 マスクを処理し再使用するためにワークフローを開発した。
結果
使用済みの N95 マスクは 1 回目の高圧蒸気滅菌後にフィットテストに合格し、86%は再使用と高圧蒸気滅菌の 2 回目のサイクルを通過した。高圧蒸気滅菌前に予熱した別のコホートの使用済みのマスクはフィットテストに合格した。1 日あたり 200 個~ 1,000 個の N95 マスクを再使用するにあたり、N95 マスクの取り扱い中の粒子のエアロゾル化を最小限に抑えるため、明らかに擦り切れている N95 マスクを不合格とするため、またスタッフによる採用を促すため、回収、滅菌および再配布の手順を開発した。N95 マスクの再生利用率は 12 回の回収サイクルで 49%から 80%までの幅があった。
結論
N95 マスクの再使用は大病院や他の医療施設において実行可能である。高圧蒸気滅菌の 10 回のサイクルの後にフィットテストに合格した未使用の N95 マスクの研究とは際立って対照的に、毎日の着用は N95 マスクの密着度を著しく低下させ、再使用を 1 回のサイクルに制限するが、それでもなお N95 マスクの在庫を約 66%まで増加させることを我々は示した。回収を増やして N95 マスクの再生利用を目的とする滅菌方法の受け入れおよび遵守率を高めるため、このような再使用には最前線の医療従事者から病院管理に至るまでの人員のレベルを越えたコミュニケーションを含む、包括的な計画の開発が求められる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
N95 マスクのリユースに関する論文である。日本でも多くの施設で行っていたと思われるが、リユースのサイクルやフィットテストなども含めて研究に仕立て上げる姿勢は見習うべきであろう。

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