ブラジル公的統一保健医療制度に対する 3 次教育病院の医療関連感染症の費用:マッチング症例対照研究

2020.10.30

Costs of healthcare-associated infections to the Brazilian public Unified Health System in a tertiary-care teaching hospital: a matched case-control study
S.F. Osme*, A.P.S. Almeida, M.F. Lemes, W.O. Barbosa, A. Arantes, C. Mendes-Rodrigues, P.P. Gontijo Filho, R.M. Ribas
*Federal University of Uberlandia, Brazil
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 303-310


背景
ブラジルにおける医療関連感染症(HAI)の経済的負担についてはほとんど知られていない。
目的
ブラジル統一保健医療制度加入を介したブラジル政府からの償還によって入院費を分析すること、ならびに成人集中治療室(ICU)における直接費用を分析すること。
方法
2018 年 1 月にブラジルの 3 次紹介教育病院においてマッチングペア症例対照研究(HAI 患者 83 例および非 HAI 患者 83 例)を実施した。支払者の観点から HAI の費用を算出するため、病院の請求書作成部門から入院ごとの総費用を入手した。直接費用は 2018 年の間の重症患者 949 例に関して年間で算出した。
結果
HAI 患者の入院あたりの償還費用(2,721 US ドル)は非 HAI 患者(1,553 US ドル)よりも 75%高かった。患者が HAI を有する場合、より長い入院期間(15 日間)に加えて入院あたりの償還費用に追加の増額(996 US ドル)があった。ICU の HAI 患者は、ICU で感染症を発症しなかった患者と比較して 8 倍高い直接費用の総額と関連していた(それぞれ 11,776 US ドル、1,329 US ドル)。ICU における非 HAI 患者の入院の直接費用は償還を 56.5%下回ったのに対し(それぞれ 1,329 US ドル、3,052 US ドル)、HAI 患者では直接費用は償還を 111.5%上回った(それぞれ 11,776 US ドル、5,569 US ドル)。
結論
HAI はより長い入院期間と直接費用の 8 倍の増加に関与する。ブラジルの病院において HAI を予防するプログラムを強化する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
HAI による入院期間の延長と入院費用の増加を示した論文である。当たり前の結果ではあるが、本研究の手法を参考に、日本でも同様の研究が増えると良いだろう。

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