世界保健機関による手指擦式製剤に関する最初の推奨と変更後の有効性

2020.10.30

Efficacies of the original and modified World Health Organization-recommended hand-rub formulations
M. Suchomel*, J. Steinmann, G. Kampf
*Medical University, Austria
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 264-270


世界保健機関(WHO)推奨の擦式製剤は、少なくとも過去 10 年間にわたり世界中で使用されている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生により、その使用がさらに増えている。本稿では、最初の製剤および変更後の製剤について公表されている有効性データをレビューした。欧州規格(EN)に準拠した有効性データのみを確認した。最初の製剤の殺菌効果は、実際の条件下ではやや不十分であった(EN 1500 では 60 秒でのみ有効、EN 12791 では 5 分だと有効性が低すぎる)。アルコール濃度をより高くした 1 回目の変更では、衛生的擦式製剤と同程度に有効性が改善した(30 秒で有効)。2 回目(0.725%グリセロール)および 3 回目(0.5%グリセロール)の変更により、手術時手指消毒剤程度に有効性が改善する(それぞれ 5 分、3 分で有効)。最初および 2 回目の変更後の製剤の試験では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)を含むエンベロープウイルスに対する活性が 30 秒で示された。エタノール製剤も、一部の非エンベロープ被験ウイルスに対して 60 秒で活性を示した(EN 14476 の浮遊試験)。製剤の in-vivo データより、汚染手指における殺ウイルス効果に関してより信頼できる結果が得られるであろうが、現時点ではデータが得られていない。それでも、直近の変更後の製剤は医療での使用に導入すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
世界保健機関(WHO)推奨の擦式製剤は世界中で使用されているため、その効果効能の評価は大変重要なプロジェクトである。国内における既存の製品群においても様々な成分が混在しているため、性能評価(消毒効果の評価)は製品ごとに実施すべきであろう。

同カテゴリの記事

2015.04.29

Prevention and control of healthcare-associated infection in Europe: a review of patients’ perspectives and existing differences

2017.12.25

Evaluation of a new packaging process for non-autoclavable endoscopes: results for the first 100 microbiological samples

2010.04.11

Short course antibiotic therapy for Gram-negative hospital-acquired pneumonia in the critically ill

2015.05.31

Whole-genome sequencing in hierarchy with pulsed-field gel electrophoresis: the utility of this approach to establish possible sources of MRSA cross-transmission

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ