エビデンスに基づいた介入が、尿道カテーテル使用、関連するプロセス指標、ならびに感染性および非感染性のアウトカムに及ぼす影響★★

2020.10.30

Impact of an evidence-based intervention on urinary catheter utilization, associated process indicators, and infectious and non-infectious outcomes
A.Schweiger*, S.P. Kuster, J. Maag, S. Züllig, S. Bertschy, E. Bortolin, G. John, H. Sax, A. Limacher, A. Atkinson, D. Schwappach, J. Marschall
*National Centre for Infection Control, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 364-371


背景
尿道カテーテル留置ならびにその感染性合併症および非感染性合併症に関する多施設介入研究は行われていない。
目的
尿道カテーテル留置を減らすこと、ならびにその結果として、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)および非感染性合併症を減らすこと。
方法
スイスの病院 7 施設において非無作為化多施設介入研究を前後で実施した。介入バンドルの内容は、以下の通りであった:(1)尿道カテーテル留置の適応を示した簡潔なリスト、(2)カテーテル留置継続の必要性についての毎日の評価、および(3)尿道カテーテルの適切な挿入および管理に関する教育。主要アウトカムは、尿道カテーテルの使用とした。副次的アウトカムは、CAUTI、非感染性合併症、およびプロセス指標(適応のあるカテーテルの割合、およびカテーテル評価の回数)とした。
結果
合計で、患者 25,880 例を本研究に組み入れた(ベースライン時[2016 年 8 月から10 月]13,171 例および介入後[2017 年 8 月から10 月]12,709 例)。カテーテル使用は、23.7%から 21.0%に減少し(P = 0.001)、100 患者日あたりカテーテル日数は、17.4 から 13.5に減少した(P = 0.167)。CAUTIは、低レベルで安定しており、100 患者日あたり 0.02(ベースライン)および 0.02(介入後)であった(P = 0.98)。1,000 カテーテル日あたりの感染症件数を調べたところ、発生率は 1.02(ベースライン)および 1.33(介入後)であった(P = 0.60)。非感染性合併症の件数は、有意に減少し、100 人年あたりでは 0.79 から 0.56に(P < 0.001)、および 1,000 カテーテル日あたりでは 39.4 から 35.4件に(P = 0.23)であった。適応のあるカテーテルは 74.5%から 90.0%に増加した(P < 0.001)。再評価の件数は、1,000 カテーテル日あたり 168 から 624 に増加した(P < 0.001)。
結論
エビデンスに基づいた 3 つの指標からなる簡潔なバンドルにより、カテーテル使用と非感染性合併症が減少した一方、適応のある尿道カテーテルの割合および毎日の評価件数は増加した。CAUTI 発生率に変化はなく、あったとしてもごくわずかであった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
尿道カテーテルの利用、感染性および非感染性合併症に着目した多施設介入研究で本文を読むことをおすすめします。

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