患者と医療従事者のコホート隔離室での経験の認識:定性的研究★★

2020.09.30

Perceptions of patients’ and healthcare workers’ experiences in cohort isolation units: a qualitative study
M. Eli*, K. Maman-Naor, P. Feder-Bubis, R. Nativ, A. Borer, I. Livshiz-Riven
*Clalit Community Healthcare Services, Israel
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 43-52


背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の治療選択肢が乏しいことを考慮して、入院患者における CPE の蔓延を抑制するために積極的な介入が実行されている。そのような選択肢の 1 つは、患者を指定された部屋にコホーティングする接触隔離である。
目的
CPE が原因のコホート隔離室での経験に関して、この部屋に入院した患者とその家族、ならびに同じ部屋で勤務した医療従事者の視点から述べること。
方法
定性的研究。大規模な 3 次病院 1 施設において対面の半構造化面接を実施した。15 名の医療従事者、3 例の患者および 6 人の家族を含む 24 人の参加者が面接を受けた。データはテーマ分析を用いてコード化された。
結果
コホート隔離室は恐れ、リスク、孤独感、不信感、不公平といった否定的な感情を引き起こし、また病院診療の治療に関する思い込みと食い違うという感覚も生んだ。コホート隔離室のインフラの乏しさはその場所での混雑の認識に反映された。さらに家族は、彼らを警戒状態に陥らせた医療従事者の一貫性のない防護行動に関して述べた。病院の感染制御室は、医療従事者にコホート隔離室に関する知識と期待される行動を伝え、更新させた。しかし、患者と家族はコホート隔離室の「理由と状況」に関する情報、指導および教育に対して不満を述べた。彼らは退院後の望ましい行動に関して一貫して指導を受けてはいなかった。医療従事者は後から振り返って、コホート隔離室は精神的、身体的および専門的な負担がかかると感じた。
結論
コホート隔離室は一時的な封じ込めの仕組みとして計画された。コホート隔離室をすべての関係者の様々なニーズに対応できる恒久的なシステムに発展させる必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
「医療従事者の一貫性のない防護行動」「退院後の望ましい行動に関して指導を受けてはいなかった」思い当たることしかない…。コホート隔離において、患者がどのように感じているか、改めて患者の身になって考え、患者に寄り添った目線で感染対策を策定する必要がある。

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