COVID-19 パンデミック時の疑い例に対する新たなコホーティングおよび隔離対策

2020.08.31

A novel cohorting and isolation strategy for suspected COVID-19 cases during a pandemic
B. Patterson*, M. Marks, G. Martinez-Garcia, G. Bidwell, A. Luintel, D. Ludwig, T. Parks, P. Gothard, R. Thomas, S. Logan, K. Shaw, N. Stone, M. Brown
*University College London, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 632-637


背景
COVID-19 パンデミックは、感染予防・制御における重要な課題を提示している。COVID-19 感染が疑われる多数の患者が入院しており、曝露から他の患者を防御する能力を押さえ込む危険にさらしている。臨床上の疑いから確定検査までの遅延が、問題の複雑さを助長している。
方法
とくに重症化リスクのある患者におけるCOVID-19 院内感染を、最小限に抑えることを目的としたトリアージツールを実行した。COVID-19 の可能性および転帰不良のリスクにより定義したトリアージ区分に患者を分類した。区分 A(可能性低い;高リスク)、区分 B(可能性高い;高リスク)、区分 C(可能性高い;低リスク)、区分 D(可能性低い;低リスク)。これにより、もっともリスクの高い区分 A については、個室に隔離という優先順位を決定した。他の区分の患者は、隔離可能数が限界の場合、コホーティングされ、伝播を阻止するための追加介入を実施した。
結果
93 例について評価し、入院中に 79 例(85%)が COVID-19 の診断を受けた。COVID-19 と診断されなかった患者のうち、最初に区分 A にトリアージされたのは 10 例、区分 B は 0 例、区分 C は 1 例、区分 D は 4 例であった。したがって、隔離が必要な高リスク患者全員が個室に入院し、曝露から保護された。COVID-19 疑い例 28例(30%)は、低リスク(区分 C、区分 D)で、コホーティングが適格であると評価された。コホーティングされた患者において、有症状の院内獲得感染症は認められなかった。
考察
隔離およびコホーティングを決定するための臨床トリアージツールの適用は、とくに、重症化リスクがもっとも高い患者において、院内獲得 COVID-19 の伝播のリスクを低減すると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
症候的に感染しているリスクの高い人と、感染した場合重症化する可能性の高い人などリスク管理は多面的であるべきである。究極、病室の感染予防策はこうしたパンデミック期には PCR 等で病原体診断がつくまでは個室隔離対応をすることが望まれる。

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