COVID-19 の期間中に再使用する外科用マスクと N95 マスクのオートクレーブ滅菌およびエタノール処理:その性能と完全性への影響

2020.08.31

Autoclave sterilization and ethanol treatment of re-used surgical masks and N95 respirators during COVID-19: impact on their performance and integrity
S.A. Grinshpun*, M. Yermakov, M. Khodoun
*University of Cincinnati, USA
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 608-614


背景
COVID-19 パンデミック時の外科用マスクと N95 マスクの需要はきわめて高く、その供給を大幅に超えている。これらの使い捨て用品では、通常、ルーチンの汚染除去および標準治療時の再使用が承認されていないが、このような実践は院内で広く発生している。米国疾病対策センターは、それを「緊急時対応戦略として」許可した。とはいえ、特定の汚染除去法が N95 マスクの性能に及ぼす影響に関して実施された試験は限られており、外科用マスクに関してはデータが示されていない。
目的
オートクレーブ滅菌および 70%エタノール処理(これらの方法は院内でのマスク再使用のためによく用いられている)による一般的な外科用マスクと N95 マスクの性能と完全性の変化に関して、これらのマスクを評価した。
方法
未使用のマスクと N95 マスク、およびさまざまな方法で処理したこれらのマスクにおいて、フィルターの捕集効率と圧力損失を計測した。エアロゾル化された単一ウイルス、その集塊、細菌、より大きな粒子担体など約 0.037 ~ 3.2 μm の粒子の捕集効率を計測した。
結果
オートクレーブ滅菌およびエタノール処理によって、初回の捕集効率およびフィルター通気性が損なわれる可能性がある。効果は、保護用品、粒子の大きさ、呼吸流量、処理の種類、その他の因子に左右される。さらに、オートクレーブ滅菌後、N95 マスクにおいて物理的破損が認められた。
結論
院内でのマスクの汚染除去および再使用を支持する対策は、本研究で得られたデータを検討しながら再評価すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
不織布素材は熱やアルコール処理を前提として作成されていないため、こうした処理では本来の機能を維持できないことが示されている。

同カテゴリの記事

2012.04.29

Surveillance programme for multidrug-resistant bacteria in healthcare-associated infections: an urban perspective in South Brazil

2017.06.29

Risk factors for KPC-producing Enterobacteriaceae acquisition and infection in a healthcare setting with possible local transmission: a case–control study

2020.12.31

Do hydrogen peroxide mouthwashes have a virucidal effect? A systematic review
K.L. Ortega*, B.O. Rech, G.L.C. El Haje, C.B. Gallo, M. Pérez-Sayáns, P.H. Braz-Silva
*University of São Paulo, Brazil
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 657-662

2019.10.15

Can real-time polymerase chain reaction allow a faster recovery of hospital activity in cases of an incidental discovery of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae and vancomycin-resistant Enterococci carriers?

2021.08.31
Comparison of five SARS-CoV-2 rapid antigen detection tests in a hospital setting and performance of one antigen assay in routine practice: a useful tool to guide isolation precautions?

E. Van Honacker*, K. Van Vaerenbergh, A. Boel, H. De Beenhouwer, I. Leroux-Roels, L. Cattoir
*OLVZ Aalst, Belgium

Journal of Hospital Infection (2021) 114, 144-152


JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ