リハビリテーションプールと治療のための水環境における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)伝播の予防★
Preventing SARS-CoV-2 transmission in rehabilitation pools and therapeutic water environments
S. Romano-Bertrand*, L-S. Aho Glele, B. Grandbastien, D. Lepelletier, on behalf of the French Society for Hospital Hygiene
*Montpellier University, France
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 625-627
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は主に呼吸の飛沫および汚染された表面との接触によって伝播される。SARS-CoV-2 は糞便から回収されることがあるが、レクリエーション水域における主要な汚染経路である糞便-経口伝播のエビデンスは認められていない。清掃と消毒の標準的な手順、微生物制御および衛生上のルールは、微生物にかかわらず感染リスクを予防することを目指している。我々はロックダウンの段階的な終了と病院活動の回復という観点から、患者に必須のリハビリテーション・ケアを確保しながら SARS-CoV-2 の伝播を制御する具体的な勧告を出すために、リハビリテーションプールと治療のための水環境における SARS-CoV-2 の伝播リスクを評価した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
SARS-CoV-2 は、エンベロープをもつ RNA ウイルスであり、基本的に水の中での長期生存は難しく、塩素系消毒剤に弱いため、リハビリテーション・プールの維持管理ができておれば、本ウイルスによる感染の危険性は極めて低い。したがって、感染がおこるとすれば、不適切な水質管理と利用者の分泌物や排泄物によるプール水の汚染と考えられる。新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として、3 つのカテゴリに分類している。①技術的な水質管理(消毒、水質モニタリング[化学物質や細菌など]と環境管理[器材の消毒])、②患者の利用規則と健康管理(脱いだ服を決められたロッカーに保管、リハビリの前後でシャワー浴、マスク着用や手指衛生など)、③スタッフの感染対策(プール外で勤務するスタッフのマスク着用、フィジカル・ディスタンスの維持、手指衛生など)である。ここで最も重要なことは、まず呼吸器症状や嘔吐・下痢の症状の患者にプールを利用させないことであろう。
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