クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)芽胞で汚染された表面の塩化ナトリウム由来電気化学的活性化溶液を用いた消毒
Disinfection of surfaces contaminated with Clostridioides difficile endospores using NaCl-derived
electrochemically activated solution
A. Medaglia-Mata*, R. Starbird-Pérez, E. Sánchez-Chacón, C. Rodríguez
*Instituto Tecnológico de Costa Rica, Costa Rica
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 670-677
背景
クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)は芽胞を介して伝播する。これらの構造に対するほとんどの消毒法では、次亜塩素酸ナトリウムやジクロロイソシアヌル酸ナトリウムといった塩素化合物を高濃度で活用している。しかし、これらの物質は望ましくない公衆衛生上の問題および環境問題と関連している。
目的
標準定量的試験法(EPA MO-21-03)を用いて塩化ナトリウム由来電気化学的活性化溶液(0.18%[w/v]次亜塩素酸ナトリウム、pH = 9.6 ~ 10.3)、市販漂白剤(5,000 ppm、2.83%[w/v]次亜塩素酸ナトリウム、pH = 5.6)、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(1,000 ppm、pH = 6.8)が表面上の C. difficile の芽胞を不活化する効果を比較すること。
結果
multi-locus sequence typing のクレード 1 ~ 5 の代表的な参考株と野外株 10 株を分析した(N = 10)。菌株の系統学的背景にかかわらず、電気化学的活性化溶液(平均値 3.22、95%信頼区間[CI]0.40 ~ 5.56)は漂白剤(平均値 2.74、95%CI 0.12 ~ 5.50)およびジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(平均値 2.02、95%CI 0.10 ~ 5.12)と比較して同等またはより良い対数減少値を示した。サイクリックボルタンメトリー測定によって電気化学的活性化溶液と次亜塩素酸ナトリウムの電気化学的挙動と開回路電位が類似していることが明らかになった。これと一致して、透過型電子顕微鏡によりこれら 2 つの化合物で処理された芽胞の形態の類似が観察された。要因計画によって活性化時間ではなく曝露時間が電気化学的活性化溶液の有効性に影響することが明らかになった。
結論
電気化学的活性化溶液と次亜塩素酸ナトリウムは機能的同等性を有しており、共通の作用機序を持つ可能性があることがわかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
塩化ナトリウム由来電気化学的活性化溶液が、クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)に対して、次亜塩素酸ナトリウムと共通の作用機序を持つことを調べた論文である。実際の現場への応用に際しては、複数の試験法により、有用性、再現性が検討されることが必要と考えられる。
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