アシネトバクター属からのリアルタイム PCR による OXA-23 様、OXA-24 様、および OXA-58 様カルバペネマーゼの迅速検出
Rapid detection of OXA-23-like, OXA-24-like, and OXA- 58-like carbapenemases from Acinetobacter species by real-time PCR
M. Mentasti*, K. Prime, K. Sands, S. Khan, M. Wootton
*University Hospital of Wales, UK
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 741-746
背景
カルバペネマーゼ産生アシネトバクター属、特にアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)は、治療失敗および病院アウトブレイクと関連することが多い。したがって、特異的な耐性マーカーの迅速かつ信頼できる検出が最優先である。A. baumannii で検出されるカルバペネマーゼで最も頻度が高いものは、すなわちオキサシリナーゼ群(クラス D のβラクタマーゼ)に属する OXA-23 様、OXA-24 様、および OXA-58 様であり、特異的な阻害物質がないために表現型を同定することが難しいことがよく知られている。
目的
上記 3 つのオキサシリナーゼを検出・識別するためのマルチプレックスリアルタイム PCR アッセイをデザインし、妥当性の検証を行うこと。
方法
オキサシリナーゼの上記 3 つのサブファミリーに関する利用可能なすべてのバリアントを、Beta-Lactamase DataBase(http://bldb.eu/)からダウンロードして(2019 年 11 月)、Clustal Omegaを用いて配列のアラインメントを行い、Primer-BLAST を用いてオリゴヌクレオチドをデザインした。阻害を考慮するために内的対照を組み込んだマルチプレックスリアルタイム PCR アッセイを、Rotor-Gene Multiplex PCR Kit(Qiagen)を用いて Rotor-Gene Q(Qiagen)上で最適化し、幅広いβラクタマーゼ(多くの場合複数)を保有するとしてこれまでに特性づけられた 122 株のパネルを用いて妥当性の検証を行った。
結果
In silico アプローチにより、アラインメントされた OXA-24 様および OXA-58 様配列の保存領域においてオリゴヌクレオチドをデザインすることができた。記述された 42 の OXA-23 様バリアントのうち、OXA-27、OXA-166、OXA-811、OXA-812、および OXA-816 のオリゴヌクレオチド結合領域のいずれかに一塩基多型が存在していた。本アッセイの感度は 100%であり、特異度が高かった。阻害は認められなかった。
結論
本アッセイは、実施が容易で、約 70 分で結果が得られる。これにより、OXA-23 様、OXA-24 様、および OXA-58 様カルバペネマーゼを、2 つ以上が同時に存在していても、確実に検出および識別できる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
アシネトバクター属菌の OXA 型カルバペネマーゼをリアルタイム PCR によって検出する方法に関する論文である。
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