積極的サーベイランスと接触隔離における適切な患者配置は、中国の小児患者でのカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacterales)感染症および保菌を著しく減少させた

2020.07.31

Active surveillance and appropriate patient placement in contact isolation dramatically decreased carbapenem-resistant Enterobacterales infection and colonization in paediatric patients in China
L. Yin*, L. He, J. Miao, W. Yang, X. Wang, J. Ma, N. Wu, Y. Cao, L. Wang, G. Lu, L. Li, C. Lu, J. Hu, L. Zhang, B. Zhao, X. Zhai, C. Wang
*Children’s Hospital of Fudan University, China
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 486-494


背景
診療でのカルバペネムの使用の増加に伴いカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacterales;CRE)も増加しており、ヒトの健康にとってかなりの脅威となっている。
目的
CRE の保菌の積極的スクリーニングと CRE 患者の様々な配置の実行が CRE 感染症のリスクを低下させる効果を評価すること。
方法
2017 年から 2018 年の間に、CRE の高リスク部門(小児集中治療室、新生児集中治療室、新生児病棟および血液内科部門)全体で CRE の保菌のスクリーニングと CRE 患者の様々な配置を実施した。
結果
2018 年には CRE 陽性の新生児患者の 80%超は個室または同室で隔離され、非新生児患者の 50%超はコホートではない配置で隔離されていた。CRE の院内感染発生率は新生児集中治療室では 1.96% から 0.63%に低下し、新生児病棟では 0.57% から 0.30%に低下した一方で(全 P 値< 0.05)、他の部門では有意な変化は認められなかった。CRE の高リスク部門では、異なる入院期間(LOS)での CRE の保菌発生率は 8 日間から 14 日間および 14 日間を超える LOS で低下した(全 P 値< 0.05)。さらに新生児分離株では臨床株の 62.5%、スクリーニング株の 66.7%、院内感染株の 74.1%が CC17 群に属していた。一方、非新生児分離株では臨床株の 56.6%、スクリーニング株の 47.5%、院内感染株の 100%が CC11 群に属していた。新生児のカルバペネム耐性肺炎桿菌(carbapenem-resistant Klebsiella pneumoniae;CRKP)株では主なカルバペネマーゼ遺伝子は blaNDM-1(98%)であり、非新生児の CRKP 株では blaKPC-2(70%)であった。
結論
積極的な CRE の保菌のサーベイランスおよび CRE 陽性患者の適切な配置は、CRE 感染症のリスクを低下させる可能性がある。新生児と非新生児の CRKP 分離株は異なる CRE の分子的特徴を示しており、このことが CRE 感染症の予防と抗菌薬治療にさらなる恩恵をもたらしうる。
サマリー原文(英語)はこちら
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