中国南部における抗菌薬耐性:2017 年の東莞市の前向きサーベイランスの結果

2020.06.30

Antimicrobial resistance in southern China: results of prospective surveillance in Dongguan city, 2017
J. Wang*, M. Zhou, G. Huang, Z. Guo, J. Sauser, A. Metsini, D. Pittet, W. Zingg
*University of Geneva Hospitals and Faculty of Medicine, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 188-196


背景
中国において抗菌薬耐性(AMR)病原体に起因する感染症の負荷を推定した研究はほとんどない。
目的
中国・東莞市における AMR の概要を述べ、AMR 病原体に起因する市中感染症と医療関連感染症(HCAI)の頻度を評価すること。
方法
急性期病院 7 施設が 2017 年の抗菌薬感受性データを提供し、そのデータから「細菌と抗菌薬」の組み合わせを分析した。市中感染症の発生割合と HCAI の発生密度を算出するため、3 次病院 3 施設のデータを東莞の院内感染サーベイランスシステムから取得した患者データと統合した。
結果
計 16,548 の病原体を分析した。大腸菌(Escherichia coli)と肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)における第三世代セファロスポリン非感受性は、それぞれ 43.9%、30.2%であった。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)とアシネトバクター・バウマニー(Acinetobacter baumannii)におけるカルバペネム非感受性は、それぞれ 29.5%、50.9%であった。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の 4 分の 1 (26.3%)はオキサシリンに対して非感受性であった。第三世代セファロスポリンとフルオロキノロンの併用に対して非感受性の大腸菌に起因する HCAI の発生密度は 1,000 患者日あたり 0.09(95%信頼区間[CI]0.07 ~ 0.11)であった。大腸菌も肺炎桿菌も血液から分離された主要な病原体であった。多剤耐性大腸菌に起因する血流感染症の発生割合(14.9%)は、2017 年の欧州抗菌薬耐性サーベイランスネットワークの報告(4.6%)と比較すると有意に高かった。
結論
東莞市における非感受性の細菌と抗菌薬の組み合わせの発生頻度は、中国全体と比較して低かった。非感受性の細菌と抗菌薬の組み合わせは市中感染症と比較して HCAI で高頻度であった。東莞市における多剤耐性病原体に起因する血流感染症の発生割合は、欧州と比較して高かった。
サマリー原文(英語)はこちら
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