内視鏡作業チャネルの損傷と細菌汚染に対する使用の関与
Contribution of usage to endoscope working channel damage and bacterial contamination
L.C.S. Santos*, F. Parvin, A. Huizer-Pajkos, J. Wang, D.W. Inglis, D. Andrade, H. Hu, K. Vickery
*Macquarie University, Australia
Journal of Hospital Infection (2020) 105, 176-182
背景
バイオフィルム形成は、内視鏡チャネルの損傷部分と関連していることが示されてきた。処置・洗浄中の器具とブラシの内視鏡チャネル通過が、チャネルの損傷、細菌の付着およびバイオフィルム形成に関与しているという仮説を立てた。
目的
使用済みおよび新品の内視鏡チャネルにおける表面粗さと細菌の付着を、in vivo および in vitro で比較すること。
方法
臨床使用済みの(使用されなくなった)大腸内視鏡の生検チャネル 10 個と新品の大腸内視鏡の生検チャネル 7 個の表面粗さを、表面形状測定機によって分析した。in vitro 試験では、直径 3.0 mm の曲線状テフロンチューブに内視鏡用軟性生検鉗子を 100 回、200 回、500 回繰り返し通過させた。原子間力顕微鏡を用いて内面の損傷の程度を測定した。新品のテフロンチューブと鉗子を 500 回通過させたチューブの内面に付着した大腸菌(Escherichia coli)またはエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の 37℃ 1 時間における数を、培養により測定した。
結果
使用済みの生検チャネルの平均の表面粗さは、新品の生検チャネルの表面粗さと比較して 1.5 倍大きいことが確認された(P = 0.03)。鉗子を 100 回、200 回、500 回通過させたテフロンチューブの表面粗さは、新品のテフロンチューブの表面粗さと比較して、それぞれ 1.05 倍、1.12 倍、3.2 倍大きかった(P = 0.025)。鉗子を 500 回通過させたテフロンチューブに付着した大腸菌および E. faecium の数は、新品のテフロンチューブに付着した大腸菌および E. faecium の数と比較して、それぞれ 2.9 倍(P = 0.021)、4.3 倍(P = 0.004)多かった。
結論
生検チャネルに損傷がある内視鏡の使用と細菌の付着増加との関連性が確認された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
内視鏡の洗浄に用いるブラシの使用がチャネルを損傷させ、菌の付着に関与していることを検討した論文である。使用による損傷の見える化の手法が大変興味深いと思われた。
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