鼻腔内高流量酸素療法時における病原体拡散の可能性の評価★★

2020.04.28

Assessment of the potential for pathogen dispersal during high-flow nasal therapy


M. Kotoda*, S. Hishiyama, K. Mitsui, T. Tanikawa, S. Morikawa, A. Takamino, T. Matsukawa
*University of Yamanashi, Japan
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 534-537
鼻腔内高流量酸素療法は、効果が高く、患者にとって快適であるため、病院における使用が増加している。しかし、患者の鼻腔内および口腔内に存在する病原体が圧縮空気によって拡散する可能性がある。本研究は、鼻腔内高流量酸素療法時における病原体拡散のリスクを検討することを目的とした。液体および細菌の拡散について、マネキンを用いた in vitro 実験系で評価を行った。高粘度の水または新鮮酵母溶液を、唾液および鼻腔粘膜分泌物の代用とした。拡散は顔および鼻カニューレの近接区域内に限定されたことから、鼻腔内高流量酸素療法により飛沫感染および接触感染のリスクは高まらないことが示唆された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
鼻腔内高流量酸素療法(HFFC)の呼吸器感染症における使用については、賛否両論あり、特に現在世界的に流行している新型コロナウイルス感染症においては意見が分かれており、国により推奨度は異なる。本論文では、医療用マネキンを使用して、水分と真菌胞子を飛散させており、結論では最大でも 60 cm 以内であり、感染拡大には寄与しないと結論している。しかしながら、実際の患者では会話、咳、くしゃみ等によるエアロゾル発生が危惧されるため、日本呼吸器学会でも指針を出しているので参考にして欲しい。
HFNC を使用する時には、「空気感染対応が実施されており、入室時には医療従事者は N95マスク、患者にはサージカルマスク着用させる」などのコメントがなされている。(https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/20200424_COVID_HFNC.pdf

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M. Mentasti*, S. David, K. Sands, S. Khan, L. Davies, L. Turner, M. Wootton

*University Hospital of Wales, UK

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 148-155

 

 

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