韓国の病院の心臓科における給水器とシンク排水管の汚染に関連するカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌のアウトブレイク

2020.04.28

Outbreak of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae associated with a contaminated water dispenser and sink drains in the cardiology units of a Korean hospital
 
J. Jung* H-S. Choi, J-Y. Lee, S.H. Ryu, S-K. Kim, M.J. Hong, S.H. Kwak, H.J. Kim, M-S. Lee, H. Sung, M-N. Kim, S-H. Kim
*University of Ulsan College of Medicine, Republic of Korea
 
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 476-483

 

 

背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の伝播に対する病院の水環境の重要性への関心が高まっている。

 

目的
3 次病院 1 施設の集中治療室(ICU)および病棟を含む心臓科における大規模なアウトブレイク 1 件を報告すること。

 

方法
本研究は CPE 獲得のリスク因子を確認するための接触追跡、症例対照研究であり、環境サンプリングは 2018 年 7 月から 12 月の間の CPE のアウトブレイク中に実施した。

 

結果
アサン病院(Asan Medical Centre)の心臓科において、計 87 例の CPE 感染患者または保菌患者が特定された。blakpcblaNDM-1blaVIM または blaIMPblaOXA-48 を産生する微生物、ならびにこれらを併産する微生物を含む多様な微生物が特定された。症例対照研究により、歯磨きのために病棟の患者病室の浴室のシンクを使用することは、CPE の獲得に関連していたことが示された(83% vs 30%、P = 0.03)。環境培養を実施したところ、給水器から肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)産生大腸菌(Escherichia coli)が、患者病室のシンクからニューデリー・メタロ -β- ラクタマーゼ(NDM)1 産生シトロバクター・フレウンディー(Citrobacter freundii)およびエンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)が分離された。ICU の患者と給水器由来の KPC 産生大腸菌のパルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)解析、ならびに患者とシンク排水管由来の NDM-1 産生 E. cloacae の PFGE 解析は、同じパルソタイプを示した。

 

結論
給水器およびシンク排水管は、本アウトブレイクにおいて可能性のある CPE のリザーバーとして疑われた。歯磨きのような汚染された水との密接な接触は、CPE 獲得のリスク因子として特定された。CPE のアウトブレイクを防ぐため、病院の水環境の管理だけでなく水環境システムの適切な使用に関する教育も実行すべきである。

 

サマリー原文(英語)はこちら

 

監訳者コメント

なし

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