中国の寝たきりの入院患者における尿路感染症の有病率、発生率およびリスク因子:前向き多施設共同研究★
Prevalence, incidence, and risk factors of urinary tract infection among immobile inpatients in China: a prospective, multi-centre study
C. Zhu*, H. Liu, Y. Wang, J. Jiao, Z. Li, J. Cao, B. Song, J. Jin, Y. Liu, X. Wen, S. Cheng, X. Wu
*Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical College, China
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 538-544
背景
寝たきりの入院患者は尿路感染症(UTI)のリスクが高い。寝たきりの入院患者における UTI に関するさらなる疫学データが必要である。
目的
中国全域の病院 25 施設の寝たきりの患者における UTI について、有病率、発生率およびリスク因子を検討すること。
方法
本研究は全国的な多施設共同横断的調査である。我々は 3 次病院 6 施設、非 3 次病院 12施設、地域病院 7 施設を採用した。寝たきりの患者から入院期間中に、人口動態、臨床関連変数および UTI 特有の変数に関するデータを取得した。単変量解析および多変量解析を実施し、二項ロジスティック回帰分析を用いてリスク因子を特定した。
結果
寝たきりの患者 23,985 例のうち、393 例が UTI を有していた。寝たきりの入院患者における UTI の有病率と発生率は、それぞれ 1.64%(23,985 例中393 例)、1,000 患者日あたり 0.69 であった。カテーテル関連 UTI の感染率は、1,000 尿路カテーテル日あたり 2.25 であった。我々は、より長い寝たきりの日数、より長い入院期間、内科病棟にいること、留置尿道カテーテルの存在、長期間の留置カテーテル、グルココルチコイドの使用、女性、糖尿病、高年齢が、UTI の独立したリスク因子であることを確認した。
結論
寝たきりの患者は一般集団と同様の UTI のリスク因子を有していただけでなく、いくつかの追加のリスク因子も有していた。寝たきりの入院患者集団における UTI の管理には、より大きな注意を払う必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
寝たきり患者における尿路感染賞(UTI)の発生に関するリスク因子の同定であるが、従来のリスク因子としては、女性、UTI の既往歴、性活動歴、殺精子剤の使用、膣感染症、糖尿病、肥満に加えて尿道留置カテーテルの存在と長期留置は、よく知られている、本論文では、寝たきり患者においての新たなリスク因子として、長期臥床とステロイドの使用が同定された。しかしながら、UTI の起炎病原体や耐性菌等についての解析がなされていない。
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