コアゲノム複数部位塩基配列タイピングは家畜関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌クローン複合体 398 によるコストのかかる院内アウトブレイクへの対処に不可欠のツール

2020.04.28

Core genome multi-locus sequence typing as an essential tool in a high-cost livestock-associated meticillin-resistant Staphylococcus aureus CC398 hospital outbreak


M.L. Slott Jensen*, M. Nielsine Skov, H. Pries Kristiansen, A. Toft, H. Lundgaard, H. Gumpert, H. Westh, A. Holm, H.J. Kolmos, M. Kemp
*Odense University Hospital, Denmark
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 574-581
背景
家畜関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(livestock-associated meticillin-resistant Staphylococcus aureus;LA-MRSA)クローン複合体 398 は、病院内で伝播して罹患および死亡を引き起こす可能性がある。LA-MRSA クローン複合体(CC) 398 の院内伝播を阻止するための経済的コストについては、ほとんど報告されていない。伝播の早期検出は、介入の規模を減少させる可能性がある。
目的
伝播の連鎖に対するコアゲノム複数部位塩基配列タイピング(cgMLST)の検出能を評価すること、またLA- MRSA CC398 の院内伝播の発見後にさらなる拡散を阻止するための介入にかかるコストを推定すること。
方法
院内におけるLA-MRSA CC398 の伝播エピソード 2 件において患者 5 例が発生した。まず、標準的な介入として、患者および医療従事者に対する MRSA スクリーニングなどを実施した。分離株 5 株と、他の入院患者から得た疫学的関連のない MRSA CC398 分離株 17 株について全ゲノムシークエンシングを行った結果を、一塩基多型の比較および cgMLST により解析した。伝播の制御にかかるコストを、関連するデータ源から算出した。
結果
分離株 5 株は、ドラフトゲノム配列において最高 2 つの一塩基多型が認められ、他の分離株とはある程度距離のある、院内伝播のクラスターに関わっていたことが疑われた。cgMLST により、分離株 5 株は同じ配列型に分類され、散発分離株とは(2 株を例外として)異なっていた。さらに、cgMLST により伝播分離株 5 株は他のすべての分離株と分離された。アウトブレイクに対する介入の経済的コストは患者当たり 11,000 ユーロを超えていた。
結論
LA- MRSA CC398 は院内伝播を起こす可能性があり、その伝播に対する介入には多大なコストがかかる可能性がある。cgMLST はLA- MRSA の院内伝播のサーベイランスに有用である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
LA-MRSAは養豚を中心に欧米で蔓延しており、CC398もしばしば院内伝播を引き起こす。特にMRSAの人の有病率の低いデンマークで問題となっている。欧米から生きた豚が輸入されることを考えるとCC398が日本国内に入ってくることも予想される。One Healthの観点からも畜産領域のMRSAのMLSTなどの遺伝子タイピングも重要であるが、日本で院内伝播として問題となるのは先の話であろう。

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