オゾン水を組み入れた新しいシンクデザインの評価
Evaluation of a new sink design incorporating ozonated water
J. Cooper*, Y. Himaras, T. Wong, E. Bryce
*Vancouver Coastal Health, Canada
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 497-502
背景
使用者による汚染を減らしバイオフィルムを減少させるため、新しいシンクおよび U 字トラップのデザインが開発されてきた。新しいシンクデザインおよびオゾンのような補助的な方策の実臨床での経験は限られている。
目的
新しいシンクデザインをはね返りに関して評価すること、ならびにオゾン水の機能を微生物バイオバーデンの減少に関して評価すること。
方法
シンクの横と後のプレキシガラスの遮蔽板に白い吸収紙を取り付けられるようにした、持ち運び可能なシンクユニットを作製した。塗装工のつなぎの作業服とマスクを着用した参加者は、30 mL のテンペラ絵の具を手に塗り、中性石けんで 20 秒間洗った。各参加者はこれを 5 回連続で繰り返し、累積した結果が記録された。大腸菌(Escherichia coli)はシンクユニットから出るオゾン水に曝露され、通常の水道水に曝露され、微生物生存に関して評価された。
結果
従来型のシンクと比較すると、SmartFLO3 シンクはシンク内と周辺区域内の環境汚染がより少なく、参加者へのはね返りもより少なかった。オゾン生成を強化するための改良にもかかわらず、活性酸素種の測定値は 0.3 ppm を超えず、有意な殺菌効果は実証されなかった。
結論
SmartFLO3 シンクははね返りを減らし、シンクからの病原体の伝播を減少させる可能性がある。本研究において生成された低濃度のオゾンでは、水道水単独と比較して明らかな殺菌効果は認められなかった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
オゾンは日本でも様々な用途・場面で用いられているが、実臨床での効果を検証した研究は少ない。本研究は実臨床に近い状況を準備してオゾン水の効果を検証し、細菌学的な効果が得られなかったと結論している。日本でもより臨床に近い状況での検証が必要であろう。
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