ガーナの教育病院における手術部位感染症のサーベイランス:前向きコホート研究 Surveillance of surgical site infection in a teaching hospital in Ghana: a prospective cohort study

2020.03.31

A. Bediako-Bowan*, E. Owusu, S. Debrah, A. Kjerulf, M.J. Newman, J.A.L. Kurtzhals, K. Mølbak
*University of Ghana, Accra, Ghana
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 321-327


背景
手術部位感染症(SSI)のサーベイランスシステムは、患者安全の評価基準の 1 つとして、医療施設が SSI の減少または予防を目的とした戦略を考案するのに役立つ。ガーナでは SSI をモニタリングするサーベイランスシステムは存在しない。
目的
SSI に対する認識を高めて SSI を制御するため、動向をモニタリングしアウトブレイクを検出するシステムを確立すること。
方法
2017 年 7 月 1 日から 2018 年 12 月 31 日に、Korle Bu 教育病院の一般外科部門において、SSI を特定するために 30 日間の積極的サーベイランスが行われた。本サーベイランスには、外科手術を受けた患者の毎日の入院患者サーベイランス、それに続く医療従事者立脚型の調査と患者立脚型の電話調査を用いた退院後サーベイランスが含まれた。我々は外科医に結果の 3 か月ごとのフィードバックを提供した。
結果
3,267 例の対象患者のうち、331 例で SSI が特定され、罹患リスクは 10%であった。SSI に罹患した患者は、SSI に罹患しなかった患者と比較して、9 日長い入院日数と補正した相対的死亡リスク 2.3(95%信頼区間[CI]1.3 ~ 4.1、P = 0.006)を含む病的状態の悪化を経験した。SSI の 49%(331 例中 161 例)は、医療従事者立脚型の調査を用いて退院後に診断された。患者立脚型の電話調査は追加の 12 症例に寄与した。SSI の罹患リスクは、試験期間中に 12.8% から 7.5%へ低下した。
結論
退院後サーベイランスは、現在の医療従事者の存在を活用することにより実行可能であり、今回の結果はガーナにおける SSI のリスクの高さと負担を浮き彫りにした。SSI のモニタリングのためのフィードバックを伴うサーベイランスシステムは、SSI の減少に寄与する可能性がある。しかし、その影響についての確固たる結論のためには、より長い観察期間が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
ガーナにおける SSI のサーベイランスシステムの構築に関する論文である。

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