ブラジルの病院における抗菌薬使用量のグローバル時点有病率調査

2020.02.29

Global point prevalence survey of antimicrobial consumption in Brazilian hospitals


A.P.M. Porto*, H. Goossens, A. Versporten, S.F. Costa, on behalf of the Brazilian Global-PPS Working Group
*Universidade de São Paulo, Brazil
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 165-171
背景
抗菌薬の不適切な使用と抗菌薬耐性率の上昇は、世界中で課題の 1 つとなっている。ブラジル政府によって抗菌薬適正使用支援が推奨されているにもかかわらず、ブラジルの病院における抗菌薬使用に関するデータは不足している。本研究の目的は、ブラジルの病院 18 施設において抗菌薬使用の点有病率調査を実施することであった。
方法
ブラジルの病院 18 施設は、2017 年に抗菌薬の使用量と耐性に関するグローバル時点有病率調査(Global-PPS)を実施した。本研究では抗菌薬の投与を受けている入院患者を登録した。データの収集は抗菌薬処方に関する詳細も含めた。データ入力、バリデーションおよび報告にはウェブベースのプログラムを使用した。Global-PPS はアントワープ大学が開発し、bioMérieux 社が資金援助した。
結果
1,801 例の患者が評価され、そのうち 941 例(52.2%)が抗菌薬の投与を受けていた。400 例(42.5%)の患者は 2 剤以上の抗菌薬の投与を受けていた。1,317 の全身使用の抗菌薬のうち、514(39%)は市中感染症に、533(40.5%)は医療関連感染症に、248(18.8%)は予防的使用のため処方された。最も高頻度に使用された抗菌薬はセフトリアキソン(12.8%)、メロペネム(12.3%)、バンコマイシン(10.3%)であった。肺炎または下気道感染症は最もよくみられる感染部位であった(29.2%)。概して、抗菌薬は主に非経口的に(91%)、また経験的に(81.2%)投与されていた。
結論
ブラジルの病院 18 施設において、高い抗菌薬使用率が認められた。抗菌薬は主に経験的に処方されていた。静注広域抗菌薬は最も高頻度に使用された抗菌薬であり、漸減の方針の強化が必要であることを示している。本 Global-PPS のデータは、抗菌薬適正使用支援プログラムと介入のモニタリングに非常に役立つ可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
グローバル時点有病率調査(GPPS)は、世界的に行われているスナップショットサーベイランスの手法である。一般的なサーベイランスで行われる連続したデータの収集・解析ではなく、ある時点での状況を定期的に繰り返しモニターし比較することで、傾向を知ることができる。Global PPS のホームページ(http://www.global-pps.com/)に手法などの詳細が掲載されている。

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