オランダの病院における医療関連感染症の有病率および抗微生物薬使用の実施率にみられる傾向:10 年にわたる全国点有病率調査

2020.02.29

Trends in prevalence of healthcare-associated infections and antimicrobial use in hospitals in the Netherlands: 10 years of national point-prevalence surveys


T.E.M. Hopmans*, E.A. Smid, J.C. Wille, T.I.I. van der Kooi, M.B.G. Koek, M.C. Vos, S.E. Geerlings, S.C. de Greeff
*National Institute for Public Health and the Environment (RIVM), the Netherlands
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 181-187
背景
オランダの病院における医療関連感染症(HCAI)の有病率および抗微生物薬の使用状況は、病院の自主参加による隔年の全国点有病率調査(PPS)によって評価されてきた。
目的
2007 年から 2016 年における HCAI 患者の存在率、リスク因子、および抗微生物薬使用にみられる傾向を記述すること。
方法
PPS では、調査日における患者の特性、医療デバイスおよび抗微生物薬の使用、ならびにHCAI の有病率が、日帰り病棟および精神科病棟を除いたすべての入院患者について報告されている。解析は、直線回帰および(多変量)ロジスティック回帰を用いて、病院内の患者クラスターを考慮して実施した。
結果
PPS のデータは、患者 171,116 例について報告されていた。入院中に発症した HCAI 患者の年間存在率は、2007 年の 6.1%から 2016 年には 3.6% に低下していた。傾向についての補正オッズ比(OR)は 0.97(95%信頼区間[CI]0.96 ~ 0.98)であった。最も顕著な傾向は、手術部位感染症(1.6% ~ 0.8%、OR 0.91[95%CI 0.90 ~ 0.93])および尿路感染症(2.1% ~ 0.6%、OR 0.85[95%CI 0.83 ~ 0.87])で認められた。2014 年以降、入院時の HCAI も記録されるようになり、約 1.5%と一定した有病率を示していた。入院期間の平均は、10 日から 7 日に短縮していた。抗微生物薬による治療を受けた患者の割合は、31%から 36%に上昇していた(OR 1.03[95%CI 1.02 ~ 1.03])。
結論
2007 年から 2016 年にわたり隔年で実施されていたPPS のデータから、入院中に発症した HCAI 患者の存在率は低下していたこと、入院時における HCAI 患者の発生率は一定であったことが示されている。入院中に発生した HCAI の補正 OR が 0.97 であったことは、発生率の真の低下は年間約 3%であったことを示唆している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
PPS を継続的に行うことで、様々な指標のトレンドを明らかにすることができる。耐性菌のトレンドについてもデータが示されているが、もともとオランダは耐性菌の分離率が低く(CRE が腸内細菌科細菌の0.5%、3 世代セファロスポリン系薬耐性が腸内細菌科細菌の 5.8%、MRSA が黄色ブドウ球菌の0.7%!)、有意な減少は認めなかったとのことである。

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*Brazilian Health Regulatory Agency (ANVISA), Brazil

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