多剤耐性グラム陰性桿菌の保菌者である母親から乳児への感染:システマティックレビューとメタアナリシス

2020.01.31

Transmission of multidrug-resistant Gram-negative bacteria from colonized mothers to their infants: a systematic review and meta-analysis


A.N.H. Bulabula*, A. Dramowski, S. Mehtar
*Stellenbosch University, South Africa
Journal of Hospital Infection (2020) 104, 57-67
背景
新生児敗血症は、依然として新生児死亡の主な原因の 1 つである。母親の細菌保菌は乳児への感染において主要な原因であり、それに続く母親由来の菌株による新生児敗血症の発生の可能性を伴う。
目的
多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR-GNB)の保菌者である母親から乳児への感染を裏付ける分子的エビデンス、ならびに MDR-GNB 感染のリスク因子をレビューすること。
方法
保菌者である母親から乳児への MDR-GNB の感染の機序とリスク因子と規模、またはそのいずれかを検討する研究に関して、PubMed と Scopus を検索した。MDR-GNB 感染および新生児の感染の転帰の統合比率を決定するため、変量効果モデルによるメタアナリシスを実施した。
結果
8 件の研究はナラティブ記述に含まれ、6 件の研究はメタアナリシスに含まれた。5 件の研究では、保菌者である母親および乳児由来の分離株の関連性を評価するため、パルスフィールド・ゲル電気泳動を用いた。保菌者である母親から乳児への MDR-GNB の感染の統合比率は 27%(95%信頼区間[CI]8 ~ 47%)であった。基質特異性拡張型β- ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌科細菌は、母親と乳児のペアの間で感染する、最も高頻度に研究された MDR-GNB 病原体であった。MDR-GNB 病原体の母親から乳児への感染後の、新生児の保菌の転帰の統合比率は 19%(95%CI 3 ~ 35%)であった。
結論
本システマティックレビューは、保菌者である母親から乳児への多剤耐性腸内細菌科細菌と ESBL 産生腸内細菌科細菌、またはそのいずれかの感染と、それに続く乳児の保菌を強く裏付けている。保菌者である母親と乳児の間の MDR-GNB の感染に関与するリスク因子に関して、さらなる研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
母親と新生児間の耐性菌のやりとりは、その密接な関係を考慮すると当然のことと考えられる。その伝播経路は分娩時の垂直感染から始まり、母乳や食事など様々なものが考えられる。耐性菌の家庭内伝播を遮断することは困難であるが、こういった現状も受け入れながら、耐性菌の制御戦略を考えていくことも重要である。

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